2018-01-01から1年間の記事一覧

日本人の集団的シンクロニシティ

「集団的シンクロニシティ」で論じたいのは、日本人のある特徴だ。仮に「集団的シンクロニシティ」と呼んでおこう。 事例を示す。 YouTubeで拡散している和太鼓の壮大な大人数によるプレイ動画がある。 下の(1)の「This is a Japanese drum line! 」がそ…

なぜ、神風特攻隊が可能だったのか?

YouTubeではWW2のドキュメンタリーが手軽に見れる。各国市民の反応も手に取るように読める。自分にとって関心があるのは太平洋戦争末期における戦闘機による決死の特攻攻撃だ。その善悪は兎も角、涙なくしては見れないものがある。 ああ、それにしても神風特…

慰安婦像問題の社会心理

韓国の慰安婦像の争点は突き詰めて言えば、第二次世界大戦における「大日本帝国の女子挺身隊は強制的な慰安婦の制度」であり、「朝鮮人の少女たちがその犠牲者となった」ことが真か偽かということになる。 この点に関しては、議論の余地はあまりなく、当時の…

21世紀のアニメと神社と神域

アニメの舞台に神社がそれとなく登場しだしたのはいつだろう? 昭和の御代には少なかったはずだ。手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子不二雄やちばてつやや横山光輝の時代には神社など片隅にも出てこなかったはずだ(少なくともテレビアニメ化されたものでは) 楳…

阿波の狸合戦

高畑勲の傑作『平成狸合戦ぽんぽこ』にインスパイアを与えた阿波の狸合戦という伝説がある。その現地である徳島県小松島市は駅前の巨大なたぬきオブジェを含め地元のアイデンティティとして狸を愛玩している。 小松島の染物屋、大和屋茂右衛門の土蔵にできた…

秋葉山本宮秋葉神社に詣でる

静岡県の山奥にある秋葉山本宮秋葉神社にようやく詣でることができた。 浜松市天竜区春野町領家の秋葉山の山頂付近にある上社のほうであります。赤石山脈の山中にある秘境中の秘境にある神社といってもいいでしょう。著名な神社で一番アクセスが悪い場所に鎮…

変わった動物牧場 in Japan

猫カフェとかフクロウカフェなど動物を侍らせたカフェが話題となっている。この動物カフェは変わり種が多く日本のなんでも折衷する文化性の現れだろうか。他方、外国人には奈良公園の鹿や上信越高原国立公園の地獄谷野猿公苑の猿の温泉浴が物珍しいとされる…

廃仏毀釈の遠因

明治初期におきた廃仏毀釈運動は庶民が率先して実行した仏教寺院の打ちこわしだった。起きたことは明白なのだが、その原因は諸説ありどれという定説はないようだ。 ここで自分は「天竺亡国説」を出しておこう。つまりは、仏教を生み出したインドがヨーロッパ…

ホフマンのオペラ『ウンディーネ』

E.T.A.ホフマンはドイツ文学者で『悪魔の霊薬』などの怪奇幻想小説で知られる。日本では全集まで出ていたが、『金の壺』は傑作であろう。『くるみ割り人形』の原作者といったほうが通りがいいだろう。 もとは音楽家を志向していたので、駆け出しの頃に、これ…

ロンギヌスの槍と刀鍛冶

「ロンギヌスの槍」の名はアニメファンなら耳にしたことがあろう。もとはと言えば、イエス・キリスト磔刑にまつわる伝説の槍である。ローマ兵士が瀕死あるいはすでに事切れたイエス・キリストの脇腹を突いた、その槍だ。槍でとどめを刺したのではなく、生き…

明治期の反抗的文化人の愛国心

内村鑑三の『ヨブ記講演』において下のくだりに遭遇したとき、驚いた。 今や北米合衆国は有色人種をくるしめて、明あきらかに国祖清教徒の自由平等の大信条に背いている。彼らはその優秀なる軍備を以て他国を屈服せしめ得るかも知れぬ。しかしながら彼らは明…

県名に多い漢字のこと

「山」と「島」が県名に多く含まれる。 和歌山、岡山、富山、山形、山梨、山口と「山」が最多で6県 次に多いのが、「島」だ。5県ある。 徳島、鹿児島、島根、福島、広島 島でもないのに島がつくというのも謎だ。県名は近代になってから再名されているので…

古代諏訪の精神的血脈

柳田国男と山中共古が『石神問答』で「さく」「しゃく」「しゃくじん」「しゃもじ」の連関を俎上に載せた時から、古代諏訪あるいは信濃の縄文呪術王国の鉱脈の採掘が開始された。 中世の説教を集成した『神道集』にある「甲賀三郎」の語りは、龍蛇神としての…

「デブ」の用例 Pig-Data Analysis

最近ではメタボに置き換わってきているようだが、太った人をいつ頃から「デブ」と呼ぶようになったのだろう。 「デブ」は江戸時代にはなかったとされ、明治期になってから「でぶでぶ」した人という用語を口語で省略するようになったからとされているようだ。…

『スラムダンク』の生きざまが新興国の時代精神

鎌倉の江ノ電踏切が東南アジアの観光客の「聖地」と化しているのは、数年前からだ。 なんと、アニメの舞台を「聖地」化するというビヘイビアまでもオタクと類似してきているわけである。 なぜ、東南アジアの若者が「スラムダンク」に心を寄せるかというと、…

都市伝説が示唆する青少年の深層心理

都市伝説というコンセプトが定着してから30年は経過した。その間に集積された怪異群、怖い話や噂話も相当な数と種類になった。 その集大成が『日本現代怪異事典』だろう。この労作をもとに、その社会心理の深層を探ってみよう。 気がつくのは「動物」の化…

朝鮮伝承における蛇の存在感のなさ

朝鮮神話や伝説における「蛇」はほんとうに目立たない。日本の状況と比較するとそれは顕著だと思う。「三輪山伝説」のようなオダマキ型の神話はないのだ。賀茂神社の「謂はゆる丹塗矢は、乙訓の郡の社に坐せる火雷神なり」の背景にも蛇がいる。また、インド…

戦中派の見たるエヴァンゲリオンの特攻魂

戦中派の心持ちになって『新世紀エヴァンゲリオン』を見てみると、戦争末期の学徒動員と特攻隊の姿が二重写しになる。といって、自分は戦後生まれなんだけど。 何が似ているかというと、エヴァの初号機をはじめ、どのエヴァの開発機も戦闘能能力が不安定で未…

神話学者のジョーゼフ・キャンベルのこと

アメリカの代表的神話学者であったジョーゼフ・キャンベルが亡くなったのは1987年。 早いもので、もう、30年も昔のことになった。 キャンベルは一般には『スター・ウォーズ』の原点であるオリジナル・トリロジーに大きな影響を与えた人物として、ジョージ・…

武産合気(たけむすあいき)

合気道の創始者である植芝盛平は卓越した神道家でもあった。合気道の主神を「アメノムラクモクキサムハラ」大神とした。 合気道の極意は、己を宇宙の動きと調和させ、己を宇宙そのもんと一致させることにある 大神に同化させる、帰一和合するのだ。 かくて、…

朝鮮半島から渡来したスサノオ

ほぼ間違いなく、スサノオは出雲神話群の主人公であり、ほぼ確実に朝鮮半島から渡ってきた神である。 『日本書紀』 卷第一 第八段 一書第四に「スサノオは子のイソタケルと新羅に降り曾尸茂梨に居た。スサノオ言うにはこの地に私は居たくない。埴土で船を作…

マッカーサー=昭和天皇の会見

「終戦」から1ヶ月ほどたったある日、すなわち1945年9月27日。 敗戦にあえぐ国民には極秘裏に昭和天皇は私的にGHQのマッカーサー元帥を訪問する。 これが戦後の一区画となる、GHQの間接統治と天皇の人間宣言の布石であった。 この場において何が話し合われた…

姥神を思う

写真は北陸の立山の媼堂の姥神神像である。子どもが泣き出しそうだ。魁夷な外見ながら人びとを守る神である。このような姥神の信仰は日本各地に残されている。 研究の先鞭をつけたのは柳田国男翁である。 『日本の伝説』ではこんな解説を残している。子供向…

往復ビンタのセマンティックスとまでいかない意味論

体罰がなくならない。しかし、その良し悪しは簡単には決められないのではないか。 一概に体罰はアクと決めつけられないのは、身体的な痛みを通して分かる知識というのもあるような気がするからだ。 だいたい、教師だって人間だ。愚かで無知な生徒が、とめど…

宮本武蔵が現代のアメリカ人にウケるのは何故か?

江戸初期の剣豪、宮本武蔵の『五輪書』、英語名「The Book of Five Rings」は東洋の思想書として、アメリカでバツグンの知名度を誇る。 本当であろうか? 例えば、アマゾンの英語サイトで「The Book of Five Rings:A Classic Text on the Japanese Way of t…

信仰対象が巨大化する文化

星野之宣がその劇画で主張していたけど日本では特定の事物が巨大化する。彼が挙げてたのは「古墳」と「銅鐸」だったかな。朝鮮半島の古墳は仁徳陵や応神陵、正確には大仙陵古墳と誉田御廟山古墳に大きさにおいては負けている。 ていうか、古墳のサイズは日本…

武寧王(ブネイオウ)とその王陵

百済の武寧王(462-523)は大和朝廷の継体天皇と同じ時代の支配者である。高句麗に対抗するためもあり、外交に力を入れた。梁の武帝のもとに使いをやり、日本にも五経博士、段楊爾を派遣している。 実は梁の武帝は名君の一人とされ、505年に五経博士の制度を…

神仏習合の始まりの件

日本史上、最初に仏教に帰依したのは九州、宇佐の八幡神だ。聖武天皇の時代、8世紀の国家的事件だった。 人びとが群れをなして八幡神を奉じて、九州より上京した。そして、当時竣工したばかりの奈良の大仏までやってきて、拝礼したのだ。 『続日本紀』にでる…

日本の環状列石と縄文のどーもくん

秋田県の鹿角市にある大湯環状列石は縄文時代のストーン・サークルとして名高い。そこで掘り出された謎の出土品がこれだ。色あいといい形状といいどーもくん似ではある。だが、口が1、目が2,左に3、右に4、中央に5 の穴が配されており、裏面には6があ…

細男(せいのお)とは何ぞや

かつてこのブログで神楽の古いバージョンである催馬楽の、「阿知女作法(あちめのわざ)」を解釈しようしたことがあった。あちめ、おおおお、おけ、 あちめ、おおおお、おけ 古式ゆかしい演奏はこの「文化デジタルライブラリー」で体感できる。 http://www2.…