2016-01-01から1年間の記事一覧

伊奈冨神社に赴く

三重県は鈴鹿市の伊奈冨神社に行ってきた。 急に思いたち、矢も盾もたまらず四日市のトンテキを食しに、三重県に行った。その勢いで近鉄の鈴鹿駅を乗り越して、ローカルな鼓ヶ浦に降り立った。 そこから西に歩くこと35分。目指した伊奈冨神社に到着。 あた…

カタツムリよ、君の名は。

今年後半の愛読書でもあった『梁塵秘抄』の四句神歌にカタツムリを題材にしたものがある。 舞へ舞へ蝸牛 舞はぬものならば 馬の子や牛の子に蹴ゑさせてむ 踏み破らせてむ 実(まこと)に美しく舞うたらば 花の園まで遊ばせむ 「舞へ」とは角を出したり引っ込…

方広寺の鐘

大阪の陣、つまり豊臣家滅亡のキッカケとなったのは、方広寺の鐘の銘なのだというが、その方広寺とその鐘は残されている。 不思議なことだ。徳川政権は大阪の陣で豊臣家滅亡後に、この鐘を破却しなかったとは。 京の都を一望する場所に豊国神社は創建された…

不思議な地下街 伏見地下道@名古屋

昭和の息吹が感じられる不思議な地下道がある。地元では「伏見地下街」と称してはいるが、どう贔屓目にみても隧道に毛が生えているだけ、つまり、狭い店舗が軒を連ねているだけの地下道だ。 これが、何故にか、19時半以降だけ営業する。別名、長者町横丁と称…

神戸っ子は平家びいき 須磨の思い

手元に「きんだち哀れ平家の足跡」とい手作り地図がある。『滅びの美学「敦盛」』の折込マップである。 それは須磨を真ん中にした平家関係の遺跡伝承の主題図だ。須磨というのは一ノ谷の合戦の舞台であるのは、地元民の常識なのだろう。 須磨には敦盛塚とい…

竹島 八百富神社に詣でる

三河湾に面する蒲郡市にある自治体の誇る観光地、それは竹島でありますな。 ここは湾内にある無人島?。でも、200mの橋を通って歩いて渡れるのです。 今、隣国と領有権でもめている島とは違います。 橋の両サイドにはアホウドリが整列してお出迎えの風。…

山車とは

山車が登場する日本の祭り33がユネスコ無形文化遺産に登録されるとか。 いつも感ずるのだが、祭りあるいは曳山にかける人びとのエネルギーは半端ではない。 それにしても、山車とは何か。 もちろん、神の遊行される依代(よりしろ)なのだが、なぜ「山」で…

ウォルタースコット邸とその自然環境

今しがた、ワシントン・アーヴィングの『ウォルター・スコット邸訪問記』(Abbotsford)を読み終えたところだ。 二人がどのような出自でどのような小説世界を生み出したかは触れないでおく。 サー・ウォルター・スコットの小説は今では文庫で読めないが、そ…

太平洋戦争の仕掛け人

「あの愚劣な戦争を引き起こしたのは日本の軍部である」とまあ皮相な論者はそう云いますな。 しかしながら、当時マスメディアや一般市民など世論を挙げて日米開戦を喜んだのは今さらあげつらうこともないであろう。国民は全体的に日米開戦はやむ無しとしてい…

カラシニコフでの連想

カラシニコフは全世界の紛争地域で「愛用」されている自動小銃のことです。AK47とも呼ばれる。 重さは4.3キロ、長さは415ミリ。30発の弾倉。分解して8つのパーツになるがここまでシンプルな構造の銃は他にはない。誰でも手入れができる。どんな場所でも使用…

天皇海山群と太平洋戦争の折り返し点

太平洋の海底地形の象徴的神話を語ってみよう。 ハワイ諸島の沖からミッドウェー島を経由してアリューシャン列島に連なる火山列がある。 天皇海山群と呼ばれる。 こんな名前が海底火山につけられている。 桓武海山 雄略海山 欽明海山 光孝海山 応神海山 神功…

多度大神の入信

三重県は桑名の多度大社は神韻縹渺たるお社、それにそれを囲繞する豊かな自然に恵まれた聖域である。 しかしながら、実はこの神様は西暦七百六十三年には仏教に帰依している。奈良時代後期には伊勢の地方神も篤く三宝を敬うようになってゆくのだ。 その結果…

八劔社のファサード

三河の国の村社である八劔社は愛知県中心に分布する。何故かと言うと、草薙剣にちなんだ神社だからだそうな。 草薙剣は熱田神宮にある。それを和銅元年に勅命により複製物を納め祀ったのがヤツルギ系神社のはじまりなんだとか。「八」ではなく「弥」の文字が…

武士や大名の紀行文

ゆえあって、日本文学史を繙いてみたのだが、武士が紀行文を残しているのを初めて知った。それもかなりメジャーな武士が文章を残している。 ときは室町時代あたりだ。まず、二代将軍の足利義詮が摂津国住吉神社に詣でた紀行文『住吉詣』。かなり達意の文章だ…

日本全国の三ノ宮を探す

一宮めぐりを終わらないうちに三ノ宮に重心をシフトしよう。三ノ宮となるとかなり存在感がなくなるけれど、全国三ノ宮めぐりを完遂することは、より希少価値があるかもしれない。 三ノ宮には、地方により、どんなものがあるかを調べてみよう。 近畿でいうと…

興亜観音に参る

熱海と小田原市の境のあたりに興亜観音がある。極東軍事裁判において有罪判決を受け、巣鴨プリズンにおいて絞首刑に処せられたA級戦犯にゆかりの礼拝専門の寺院である。 その人物が松井石根(元陸軍大将)であります。じつに、南京虐殺事件の責任をとらされ…

黄金バットの敵役 ナゾーの謎

往年のTVアニメファンなら『黄金バット』は知っていよう。その敵役のナゾーはなぜか四つ目であるが、いつもキメ台詞があった。「ローンブロゾー」 これは謎だったが、さる10月18日に解決を見た。 イタリアの犯罪人類学者であるチェーザレ・ロンブローゾの命…

法隆寺 聖護院前の大楠と中宮寺の亀

法隆寺に行った。世界最古のお寺。百済観音は別に語ろう。 聖護院前の大楠を撮った。聖徳太子の時代から生き残る、太子ゆかりの老樹である。 そして、中宮寺にも行った。聖徳太子の生母である母后穴穂部間人皇女(あなほべのはしひと)のために太子が創建し…

会津藩士 秋月悌次郎 

秋月悌次郎はNHKの大河ドラマ『八重の桜』でもほんのわずかしか出番が見られなかったが、それでも藩の知恵者として戊辰戦争での会津降伏での活躍や山川健次郎の育ての親的役割などはうかがい知れた。教育者として奥羽列藩同盟の立案者の一人として、戦闘の指…

職能民の変遷の一逸話

鎌倉時代の『東北院職人歌合』をみる。これは国の重要文化財であり、「東北院職人歌合絵巻」で詳細は見分できる。 ここからは網野善彦の孫引きとなる。絵巻では下図のように博打うちと巫女が対になっている。実は平安末期には国衙(地方官庁)が双六打(博打…

日本悲観論は正しくて、でも没落しない理由

人口減と少子高齢化、エリート層の質低下、国や自治体の財政赤字、技術開発力や研究力の崩壊、地震や火山台風などの被災増大などなど日本の先行きを危うくする「事実」が山ほどある。 しかしながら、他国が一緒に没落するならば、日本の将来はそうではなくな…

Erdstall『小鬼の穴』と伝承のミッシング・リンク

南ドイツからオーストリア、ハンガリーにわたる広い地域に700以上もの地下トンネルがある。エルドシュテーレと呼ばれる遺跡はそれほど古いものではない。10世紀から13世紀のあいだに人工的に掘られていることがわかっている。 日本でも知られるように…

伊奈波神社

岐阜市民の初詣といえば伊奈波神社だ。岐阜の三宮でありながら、なかなかの風格と気品を漂わせている。斎藤道三が稲葉山城の近くから、当地に移したそうだ。それ故、社殿としてはそれほど古くはない。 祭神は五十瓊敷入彦命(いにしきいりひこのみこと)との…

中世の僧兵の歓喜の叙情

『平家物語』での一挿話が記憶にある。平安時代の末期、京の貴族から武士に権力が移行してゆく時代である。 巻一にある延暦寺と興福寺の僧兵が争ったおりの勝どきの歌。 うれしや水、鳴るは滝の水、日は照とも絶えずとうたへ と観音房と勢至房が囃す。 これ…

山下清の日記を読む

海外のアール・ブリュット作家はよく知らなけれど、山下清のように克明な日記をつけたアーティストは少ないだろう。『裸の大将放浪記』として国民的人気を呼んだのも珍しい。テレビドラマ化されてもいる。 句読点なしで漢字も少ない、その文章は単純ながら味…

伊勢の月読宮の印象

日本神話によれば月読命は天照大神と素盞嗚命と並んで三貴子の一人のはずである。でも記紀の扱いはそっけない。日月は大きな対立物であるのに、月読命はどこにも権力基盤を持っていないかのようだ。 そうとはいえども神の都を自称する伊勢は、弟分を疎かにし…

こんにゃく談義

味の達人、北大路魯山人は「 蒟蒻 ( こんにゃく ) をつくりあげた作家は、中国人にしても、日本人にしても、驚くべき創作家的料理人である」としている。直木三十五(直木賞の直木だ)は死ぬ前に、「食べ物では、今でも、食べたいと思うのは、 蒟蒻 」と記…

小林多喜二の死への抗議

ノーマ・フィールド女史は小林多喜二の拷問死に対して半世紀たった今日でも、痛烈な抗議をしている。それに比べれば、現代の日本文化人は情けないもんだ。 まことに遺憾である。 反体制作家であるということだからだけで、三時間の残虐なる拷問(その無残な…

戦前からの国粋主義思想の本拠跡

安岡正篤(1898年 - 1983年)は日本の国政の重鎮として最後まで隠然たるパワーを持っていた。 佐藤栄作や福田赳夫、中曽根康弘など歴代総理から重要事項の相談を受けることもたびたびであった。本人は陽明学者を自認し、在野の行動的教育者を生涯貫いたとも…

1966年ものの真田幸村のオープニング