2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

世界で一番古い家系

それは孔子の直系の子孫である。1949年に台湾に移住した孔徳成は第77代であった。2008年になくなっている。 日本の天皇家も古いことは確かであろうが、孔子のように歴史的には遡れない。何と言っても孔子は紀元前5世紀の実在の人物である。わが神武天皇は…

バチガルピのSFの混沌のアジアと日本

大航海時代の東南アジアで日本の女性はひときわ高く売買されていたという。 バチガルピの近未来(ねじまき少女)のエミコはその残像ではないかと思わせる。 エミコは少子化に直面した日本の遺伝子工学が生んだ「新人類」である。 『ねじまき少女』は2008年の…

賞味期限がない加藤秀俊の「漫文」

「漫文」というと失敬な表現になってしまうが、加藤秀俊の一般向けの文章はとてもとても手が込んでいることが分からないほどにスズロ(漫ろ)で洒脱な論文だ。 そもそも加藤秀俊の学問はその著者紹介を読んでも判然としない。おそらく社会学者なのだろうが、…

金門島と米中代理戦争

多くの人は「金門島」がどこにあるかなど知らない。知らないどころか、関心もまったくなく、この台湾の領土が中国本土と2kmしか離れていない孤島であるも初耳であろう。 1958年に中華人民共和国の人民解放軍と中華民国軍が本格的に砲戦があったことは一部…

「撃攘の歌」の古代中国

中国古代の民衆の歌が残る。題して『撃攘(げきじょう)の歌』 なんとも力強く芯の通った歌謡である。現代詩には喪われた原初の響きがこだましている。 日出でて、はたらく 日おち、ねる 井ほり、飲む 田たがやし、食う 帝の力、われに何の関わりあらん 原漢…

伝説的ワイドスクリーン・バロックのSF作家ハーネス

ブライアン・オールディスがその古典的評論『十億年の宴』でSFの一つの頂点として打ち上げた様式が「ワイドスクリーン・バロック」であった。そのことは古株のハード系SFファンの記憶にしか残っていないであろう。 典型がアルフレッド・ベスターの『虎よ!虎…

洞窟と古代人の死後の世界観

海岸沿いの海蝕洞窟に多く弥生人やその後継者たる大和民族の墓地が日本列島のあちらこちらに存在する。 古代人がその墓地をどのように観念していたかについて窺い知れる文字資料は出雲風土記の猪目洞窟についての記述くらいだろうか。 「夢にこの磯の窟の辺…

日本精神の千年の知己 インド詩人タゴール

アジア人で最初のノーベル賞(文学賞)受賞者はタゴールであります。このインドの天性の芸術家は戦前の日本を好んで訪れた。 最近流行りの日本人の自画自賛コンテンツはどうにも平板で深みがないようだ。 ここでは、西洋文明も東洋文明も客観視できた、インド…

ボルヘスの後にはボルヘスなく、ボルヘスの前にもボルヘスはおらず

つまるところ、すぐれた書物が自律的な宇宙を形成していることを余すことなく告げた預言者はボルヘスただ一人であった。 それは最近、文庫化された『語るボルヘス』でも再確認できる。 「書物」「不死性」「探偵小説」「スウェデンボルグ」「時間」の五つの…