2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

気になる、お気に入りの縄文土器

縄文後期の土器の造形性はインパクトがある。有名どころではないものを切り抜いて貼り付けておこう。 埼玉県真福寺貝塚出土の土器。今にも動き出しそうな不思議な生命感が宿る。 青森県の田茂木の産。人面土器の顔は土偶でも見かけた面相だ。容器の下部に小…

朝鮮の偽史の代表 「桓国正統史」

韓国における偽史の興隆や蔓延状況はかつての日本におけるそれと似ている。20年前くらいは竹内文書、宮下文書が大繁盛であった。 こうしたアカデミズムや客観的資料と無縁な偽史は自国中心の誇大視=古代史である。おおむね経済成長にともない自国の歴史的伝…

新しいと荒ぶると 南島の海神の訪れ

「新しい」、つまり、newという意味のことばがもとはと言えば「あらたし」であった。それは万葉集での用法から確かめられる。 折口信夫の万葉集辞典も「めづらしい。気がかはる。結構だ」と「あらたし」の意味を記している。 現代日本語の語順といつ入れ替わ…

イギリスの上流階級の婦人になりきるには

それはヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』を読むにかぎる。もちろん、「ダウントン・アビー」でもいいかもしれない。同じ時代設定だから。だが、内面からのナリキリはウルフの小説の方に歩がある。 画期的ともいっていいこの小説はロンドンの朝ととも…

時の流れに身を委ねられた時代の軽音楽

今から半世紀前の軽音楽はホンマに軽い。その軽やかさのゆえに何の気兼ねもなくメロディに身を委ねてポ和〜ンとできるんだ。 その和やかさが心のうちに染みわたる。 このヘンリー・マンシーニの演奏なんかが典型だろう。原曲は1950年代の戦後の復興期のアメ…

ジャック・ラカンの中宮寺 如意輪観音のエピソード

フランスの「現代思想」の代表選手の一人だったジャック・ラカンは二度ほど来日している。 そしてその奇妙な精神分析の眼差しを奈良の古仏に注いだ。1970年の日本でのことだ。 以下、佐々木孝次からの引用であります。 みなさんに回した彫像の写真から、それ…

ラドヤード・キップリングの『キム』のインド

とかく大英帝国礼賛の国粋主義者と見なされるラドヤード・キップリングはそれ以上にホンモノの文学的才能と人間を見抜く観察力を有していた。彼の短編もいいけれど長編小説もいい。 『キム』はその代表的な作品なのだろう(これ以外には児童小説しか読んだ記…

トマス・アクィナスのヴィジョン

カソリック神学のご本尊ともいうべき聖トマス。天使博士とも呼ばれたトマス・アクィナスは圧倒的なビジョン=ヒエロファニーを見て、主著『神学大全』を断筆した。 1273年12月6日、聖ニコラウス聖堂でミサを捧げている最中に衝撃の体験をした。 「兄弟よ、私…

神道が平和的なんて誰が言った?

最近の論評で「一神教が好戦的で多神教が平和的」なる言説が徘徊しているようだ。 一神教がイスラムを念頭におくかどうかは文脈によるけれど、「多神教が平和的」というのは我が固有の神道を指してのことであろう。 これは全体として歴史的事実と背反する。…