2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

朝鮮から見た倭人の学習熱

司馬遼太郎によれば戦国末期に、藤原惺窩という儒学者がいた。彼は日本の野蛮さを軽蔑し、隣国の朝鮮に渡ることを生涯の願いとしたという。当時の、朝鮮は儒教による国家運営の模範だったのだ。 江戸時代になり林羅山が幕府お抱えの儒学者となるが、惺窩の弟…

石がかたる

ハイデッガーは「石には世界がない」とする。人間は世界は形成する。それが存在論的差異だ。ヒトだけが世界を紡ぎだし、物語りをするというのがドイツの形而上学者が言わんとすることだろう。 しかし、森有正はフランスから帰国して箱根に安らいながら、「日…

いもずるネットワーク

山中共古が生きた時代とその人脈は大きな共感を唆るものだ。 山口昌男の『内田魯庵山脈』をもとにその概要を描いてみよう。 幕臣であった山中共古は静岡で教会牧師を務める傍ら、考古趣味といでもいうものに巻き込まれる。それが『集古』という雑誌とその中…

乞食と神仏の文芸

芭蕉の句を読む。 菰を着て誰人います花の春 菰(こも)を着る人とは乞食であり、その下層民がめでたい正月の春に訪れるという近代人にとっても意表をつく句である。 同時代人の京都の俳諧からも非難された。 しかし、折口信夫以降の我らは芸能の起源につい…