2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫の飯能市

三島由紀夫の凡作の一つ『美しい星』は埼玉県飯能市の住宅街を舞台にしたSFだ。富裕層の美男美女たちが宇宙人でありながら、なぜか市井に暮らすというものだ。 三島の大脳前頭葉に巣食う「平凡な一般人=地球人とは違う」というエリート的美意識が、このよう…

アベノミクスの最初の誤算

入超で1.6兆円の赤字。 日本がもはや輸出大国ではなくなっていたら、円安はダメージにしかならない。 かつての製造業は国内生産ばかりではなくなっている。海外拠点での生産が増えたはず。つまりは、国内企業すらも海外生産品を日本に輸出しているような業態…

ベリリュー島の戦いとパラオ共和国

硫黄島の戦いに隠れてしまい、その激闘ぶりが十分に伝承されていないのがべリュリュー島の戦いであります。この南洋上の孤島でじつに陸海軍 約13000名のほとんどが玉砕している。 これに対して、海空をすべて抑える圧倒的な火力を備えていた米軍は総員 5万名…

流しびなと淡島信仰

清まることをいたるところで演じ、祈り、感じる。それが「穢れ」を払う行事となり所作となる。 「流しびな」はその代表だろうか。 ひな人形もここでは穢れとともに水に流されてゆくカタシロである。 やはり、折口信夫の論は奥が深い。彼の発想を移植すれば、…

ベルメールの愛人 ウニカ・チュルンの画

ハンス・ベルメールの晩年の愛人ウニカ・チュルンは病んでいた。 創造的な狂気は彼女を深々と蝕んでいき、ついには破局がくる。 その画には彼女の魂に巣食う病原がくっきりと描かれているといえる。深い傷口の膿がその創作物そのものという印象を与えるのだ…

計算合理性の檻

マックス・ウェーバーの警告である。官僚主義社会の行き着く果ては計算ずくめの合理性の支配する鉄の檻のような社会だという。 その例を書き留めておく。 現に日経平均やNYダウが上がればその政策決定が支持されたという見方が横行する。個人生活でもそう。…