2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

環状列石から環状列柱へ

日本のストーンサークルというと秋田県の大湯ストーンサークルに指を折る。二箇所に分かれてあり、万座列石と野中堂列石である。万座列石は外径46メートル、内径15メートル。野中堂列石は外径42メートル、内径12メートルだ。 国内最大であり、国の特…

「さだこ」の落魄(らくはく)のヒストリア

「さだこ」という名はどうやら運のめぐり合わせが良くない。それが歴史的にたどれる。別に「さだこ」さんたちに私怨はない。単に意外なトラディションを見つけたというにすぎない。 歴史的には清少納言の仕えた藤原定子が始まりだ。「ていし」とも「さだこ」…

ジョン・ダン『死よ、騎るなかれ』(Death Be Not Proud)を読んで

いまさらながらに揚言するなら、形而上詩人のジョン・ダンの作品は見事だ。 この17世紀の英国詩人は聖職者にして伊達な通人、武骨者でありながら思想家だった。 『死よ、騎るなかれ』は不可避の宿命たる死へ挑戦状というべきものであろう。レトリックを駆…

府中街道ぞいの石神宮

石を神とみなすか、神が石に宿るのか、どちらにせよ不思議な信仰を今の世まで日本人は抱き続けている。 この社もその一つだ。近代的な都市のさなか、府中街道と新幹線がまじわる一角に鎮座する。その名も『石神宮』 地元の人たちの尊崇が続いてる。ウラ寂れ…

明治以降の仏教界を掣肘した二つの出来事

日本の近現代仏教は社会への関わりという点で消極的である。見かねた外部の文化人が「頑張れ仏教!」、「寺よ、よみがえれ」とエールを送っても掛け声倒れになってしまう遠因があったと思う。 一つは明治初期の「廃仏毀釈運動」。 国土全体をおおった反仏教…

Vaporwave 失われた未来への喪失感

Vaporwaveは電子音楽とネット上のリミックスの一領域である。2010年代に生まれたてのホヤホヤのジャンルだ。特徴的なのは90年のポップスやサブカルチャーを切りこまざいてノスタルジックなフィーリングをモチーフにしていることだろう。 また、こうも言える…

パヴェーゼの『月と篝火』の示唆する民族的手がかり

パヴェーゼの最後の小説『月と篝火』(1949)は戦後、名声の絶頂にあった作者の白鳥の歌というべき悲劇というよりは惨劇にちかい物語りだ。篝火は「かがり火」と読む。 パヴェーゼはこの小説発表の4ヶ月後にトリノのホテルの一室で自殺を遂げる。二重の悲劇的…

房総半島の半熟ピラミッド

ゴールデン・ウィーク中の千葉県ツアーで思わぬ見つけものがあった。ピラミッドである。 市原市の郊外、つまり、千葉県の中央部に巨大なピラミッドがある。頂上部は展望台となっていて高滝湖を見下ろせる。 圏央道のPAの一角を占める巨大な角錐台であるが、…

宗像三女神の生誕の場 宗像・沖ノ島

世界文化遺産候補「宗像・沖ノ島」というニュースが駆けめぐっている。まことにもって、海の正倉院の価値にふさわしい。 なにしろ、千年以上もの間、古代的な祭儀がこの辺境で持続していたこと。その神聖な遺物が手付かずのまま現在まで守られ、伝えられ、残…

君は丸石神を見たか?

山梨県下一円にひろがる丸石をつぶさに激写した。北杜市の街道の一角にそれは鎮座、こともなげに居座っておられる。 四辻の街道筋にあることから、辻の神なのかもしれないし、背後の屋敷の守護神なのかもしれない。これは山梨特有な典型的な「丸石様」なのだ…