2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『君の名は。』 神道的視点から

新海誠監督のアニメ『君の名は。』(2016)は神道的な視点からも興味深い作品であった。 はじめに気づくのは、舞台や登場人物に「水」の関わりがある設定があることだ。 なぜか隕石の落ちた跡は湖となっている。主人公たちの通う高校は湖を見下ろす場所にある…

聖地巡礼の比較観光学

お伊勢参り、大山詣とか成田山初詣とか、江戸時代から何かにつけて日本人は「聖地巡礼」にかこつけては旅をしていた。 その旅という言葉は「足袋」におけるように歩く旅が基本であった。杖をついてお参りするのが常識であった。それがいつの間にやら、便利な…

地域伝承における「塚」のタイプ

どれほど日本列島には塚があることか。古墳や富士塚など名だたる塚だけでなく様々な塚がこの島国を埋め尽くしている。あるいは埋め尽くしていた、というべきか。 世界各地に塚はある。アメリカの東海岸にもインディアンが造成した「塚」がマウンドという名称…

理想の読書:中勘助のスローリーディング

橋本武という元国語教師は有名進学校の授業で三年間かけて『銀の匙』を生徒に読ませた。これが伝説の授業となるわけである。『銀の匙』といっても荒川弘の漫画ではない。 その前に中勘助の『銀の匙』はいかなる小説なのだろうか? 東京に住まうある有産階級…

百太夫と女性史家、脇田晴子氏

『梁塵秘抄』に 「遊女の好むもの、雑芸鼓小端舟、大傘翳艫取女、男の愛祈る百太夫」 とある。 この百太夫は兵庫県西宮の西宮神社の末社に百太夫社というのが残り、西宮傀儡子の職能神というべき社であることが知られている。 脇田晴子氏は百太夫を大江匡房…