2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ひのもとのやまとの民も、孤独にて老いさすらへむ時、いたるらし

折口信夫の和歌。59歳、終戦の年でもある。21世紀の後期高齢国家ジャパンの歌でもあろうか。釈迢空歌集 (岩波文庫)作者: 折口信夫,富岡多惠子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/07/17メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログを見る

ひょうたんの伝説に関する書誌

日常用品で見かけることはないが、「ひょうたん」という植物は古くから日本人(中国人)のイマジネーションを刺激することが多かったらしい。 浦島太郎は腰ミノにひょうたんをぶら下げている。近世の想像画であるにせよ、昔の漁師は飲水をひょうたんで運んで…

猫の町

このタイトルの東西二篇を並べておく。 萩原朔太郎とアルジャーノン・ブラックウッド。 群馬県の孤高の詩人とイギリスの怪奇作家だ。萩原朔太郎のタイトルは『猫町』束の間の幻影のような掌編であった。ブラックウッドのは「いにしえの魔術」という妖怪博士…

Orlando

オーランドというとディズニー・ワールドの所在地を思い浮かべて、このブログに行き着いた人もあろう。生憎とここでの主題はヴァージニア・ウルフの作品だっちゅうの。 この奇妙な物語は不老不死の両性具有者の遍歴がテーマである。ふ〜む。 ドーヴァー海峡…

バリ・ハイの舞台

その昔、一世を風靡したミュージカル『南太平洋 Tales of the South Pacific 』の音楽と実在する場所を探し当てよう。 タヒチ諸島に属するモーレア島がそれだ。 "Some Enchanted Evening" 「魅惑の宵」ときたもんだ。 かの有名な「バリ・ハイ」 モーレア島は…

A.E.コッパード

何よりもこの人は『消えちゃった』(平井呈一訳)で鮮烈なイメージを残した作家である。イギリスの数あるマイナー作家の一人である。だが、その独特な味わいゆえに固有なファンも多いだろう。 それは、思い出したように短篇集が刊行されることでも証明されよ…

城塞都市 Coto De Caza

金持ちだけが住める隔離都市、いわゆるゲーテッド・コミュニティの代表が、「Coto De Caza」だ。 アメリカ・カリフォルニア州のオレンジカウンティにある。 1万4千人が住み、許可無く地域に入り込むことは許されない。 アメリカだけではなく、世界の5万箇…

日本史における東と西

史家として東日本的なものと西日本的なものとの対比を考えたのは網野善彦だろうか。 古くは縄文系と弥生系の対比から始まる。 弥生系は大陸由来の渡来人の系列であり、縄文系は土着的な古くからの住民の血筋であった。『倭人争乱』などによれば3世紀後半にそ…