猫の町

 このタイトルの東西二篇を並べておく。
 萩原朔太郎とアルジャーノン・ブラックウッド。
群馬県の孤高の詩人とイギリスの怪奇作家だ。萩原朔太郎のタイトルは『猫町』束の間の幻影のような掌編であった。ブラックウッドのは「いにしえの魔術」という妖怪博士ジョン・サイレンスシリーズの一篇である。
 前者は後者にインスパイアされたのではないかと思う。
 猫が人となり人が猫になるのが共通点である。

 そういえば老舎『猫城記』もスケールこそ違うが類似の小説である。老舎は文化大革命で悲惨な最後を遂げた。満州族の知識人であったことも原因かもしれない。
『駱駝祥子』(ロ−トシアンツ)は青春の愛読書であった。

猫町

猫町

妖怪博士ジョン・サイレンス (角川ホラー文庫)

妖怪博士ジョン・サイレンス (角川ホラー文庫)

猫城記 (1980年) (サンリオSF文庫)

猫城記 (1980年) (サンリオSF文庫)

 猫と人のキメラというとこれだ。この『帰らぬク・メルのバラード』に尽きる

シェイヨルという名の星 (ハヤカワ文庫SF―人類補完機構シリーズ)

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