2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『夏草冬濤』の金枝、木部、郁子のモデル

井上靖の秀作『夏草冬濤』で描かれた早熟な文学不良少年たち。主人公の洪作が「きらきら」としたものを感じた人物像には、今でも色褪せない魅力がある。 高校時代を思い起こせば、クラスメートはそれぞれの個性が芽生え、早熟な友は未知の人生の魅力をまとい…

西洋の歴史の厚みを感じる

辻邦生の名作『背教者ユリアヌス』で悲劇的英雄ユリアヌス皇帝をご存知の方も多かろう。ギボンが大絶賛した一大の麒麟児である。ローマ史上にひときわ輝く新星であった。 コンスタンティヌスによるキリスト教の国教化に対して、異教復興を掲げ短期間ながら華…

詐欺師?語り部?トリックスター カーロス・カスタネダ

ヤキ・インディアンのドン・ファン・マトゥス、不在の呪術師の語りを通じてカルト的熱狂を生み出したカルロス・カスタネダ(Carlos Castaneda)。 Time誌の表紙となった。そのドキュメント「ドン・ファン」シリーズは、文化人類学のフィールドワークとして当…

論理学と「維摩の一默」

ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』のラストのセンテンスが、 「およそ語られうることは、明晰に語られうるし、語りえないものについては沈黙しなければならない」とあるのは幾多の解釈をうんだ。 それまで連綿と合理的に考えることを考察してきた挙句…

正接関数によるバブルアニメ連作

動物の置き物にあふれる日本

身の回りで、たぬきの置き物(信楽焼き)、こま犬、招き猫とみまわすと動物の意匠がかなり目に付く。 カエルやウサギの置き物もポピュラーだし、稲荷神社は狐をまつる。 奇抜な研究で知られる井上章一は『人形の誘惑』で、かつて薬局でよく見かけたコルゲン…