2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

古代の聖なる入れ物

古代人、東南アジア系の古来からの信仰には「神の入れもの」があったと推測されている。 岩田慶治によればラオ族やタイ族の祠堂はガランドウであるという。マツリの時だけでそこに神が来たり給うのだ。また、岩田は国史家の西田直二郎を引用する。 手近に神…

阿仏尼は先駆的なオンナ

『十六夜日記』は多くの人にとり、高校の古文でスレ違うことがあっただろう。 中世の紀行文であり、阿仏尼というなんだか変わった名前の女性の手による文学史上の作品であることなどはウッスラと覚えておる向きもあろう。 冷泉家という藤原定家を先祖の一人…

初音ミク論 作り物に宿る一瞬の永遠美

初音ミクは新しいものではない。われらの遠い父祖の人形(ひとがた)の末裔なのだ。 人形は古来の芸能のなかで特別な場所にある。また、人の姿をかたどった人形は島国の深い情緒の源泉にある。 文楽はその偉大な伝統の残滓だ。近松門左衛門という人形劇界の…

戦後の日本が怪獣映画に込めた暗い情念

ゴジラの映画音楽で有名な伊福部昭の戦前の曲『古志舞』には太平洋戦争の士気高揚がみなぎる。この曲想がやがて東映の科学的娯楽映画によみがえることはファンならご存知だろう。そして、それら映画音楽の基底を流れる情念は滅んだ大日本帝国への想いが潜ん…

イ号潜水艦が攻撃したアメリカ本土の町

スピルバーグの忘れられた快作『1941』で描かれた1941年の大日本帝国海軍の潜水艦によるアメリカ本土攻撃、その場所はオレゴン州アストリア市だった。 フォート・スティーブンス砲撃だ。同時に零式小型水上偵察機によるアメリカ本土爆撃も行った。 …

和泉式部の「もの思い」の語感

昨夜は和泉式部の足袋の説話に足元を救われてしまった。本当は彼女の歌を取り上げてみたかった。 ものおもへぱ沢の螢もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る 捨てられた男のことを思い悩むあまりに心は乱れて我が身を離れ去りホタルとなりはてたような虚ろ…

和泉式部の足袋

王朝期の恋多き悩める美女、和泉式部には多くの民間伝承が仮託されている。柳田翁が「桃太郎の誕生」に収めた「和泉式部の足袋」はなんとも不思議な縁を足袋と和泉式部のあいだに取り持つ伝承だ。 和泉式部は鹿の子どもであって、その足は二つのヒヅメに割れ…

マンホールの蓋の意匠

石井英俊氏の『マンホール』を読んでいる。通読するというよりはパラパラと気ままな流し読みをしている。 全国市町村はどれほど手間ひまかけかけてマンホールの蓋に地域の伝統を埋め込んだかがわかる。しかし、なぜこうまでして踏み絵にもなり兼ねない鉄の円…

ポール・クローデルの日本への哀悼

20世紀前半に来日した西洋知識人のなかでもポール・クローデルという高い感性の知日派を持ち得たのは幸運であった。 大正時代にフランスの外交官として日本に赴任したクローデルは彫刻家の姉の影響もあり、若い頃から日本への憧憬を抱いていた。 彼を待ち受…

宇宙時代のカシオペアサウンド

映像的にはこちらをhttps://youtu.be/Ii74U38f6o0