2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

箒(ほうき)を逆さにもつ箒神

箒を逆さに立てる行為が客の去るようにするマジナイだという。ところで、石仏の一つの箒神というのがある。これが何故か箒を逆さに抱えている女性の神なのだ。「ははきがみ」とも言う。 かつてのホームドラマでは、ダメおやじが帰宅すると玄関にホウキを逆さ…

『ヘーゲル読解入門』の読解例入門 -経営者と従業員の弁証法-

コジェーヴの名著『ヘーゲル読解入門』(国文社)の読み解きを「経営者と従業員」という観点から実行してみるとしよう。従業員は非正規とするのが順当だろう。しかしながら、現代日本の貧相さを増す雇用状態からすれば、正規従業員こそ当て嵌まるのだする立…

山の神と『年中行事覚書』

柳田国男の『年中行事覚書』はその地味なタイトルのせいで等閑視されることが多い。自分もそうであった。アナログ媒体として所有はしていたが、まともに読み終えたのは「青空文庫」で公開されてからだ。2年もたっていない。 山の神は民俗学の始まりのときか…

俗物たちのパラダイス 金融とマネー幻想

金融サービスは現代社会にとって本質的な存在だ。電子マネーがこれほど気楽に使えるのも、ローンを組んで好きなモノを買えるのも、海外旅行が自由気ままに楽しめるのも金融テクノが高度に発達したおかげである。 織田信長の楽市楽座、あるいは近年の金融ビッ…

中勘助と島ごもり

ロングセラーとして知られる『銀の匙』は主人公の幼少時の思い出を味わい深く綴った好著だ。癖のない文体でノスタルジックな情感を伝えるその人柄の特徴はその小説には刻まれていない。確かに著者である中勘助のことはあまり知られていない。 彼は28歳の時…

スティーヴンソンの語りの魅力

小説家ロバート・L・スティーヴンソン(1850-1894)は、もはや『ジキルとハイド』『宝島』くらいしか読まれておらず、残りははい、オシマイ。 そんな扱いを受けている。多分、文庫や小中学生向けの名作集ですら同様であろう。 しかしながら、あの驚くべき読み…

インパクトのある風刺の行方はいずこ?

筒井康隆の『公共伏魔殿』から引用しよう。 「うそをつきなさい」と、おれはいった。「反対意見なんか、お座なりもはなはだしい。出席者の顔ぶれを見ればわかります。政界からの出席者は与党の連中ばかりじゃないか。学界や文化人や、その他の民間人だって、…

ミラノ博で日本館が一番人気に憂慮する

このほど閉幕したミラノ博で日本館が長蛇の列で好評だったそうな。フレンチや中華料理並みのプレゼンスを和食を持ちうるわけだ。それはそれで誇らしいような気がするのが島国根性だ。 和食は洗練された食事様式であるし、ヘルシーで調和が取れているのは確か…