一宮めぐりを終わらないうちに三ノ宮に重心をシフトしよう。三ノ宮となるとかなり存在感がなくなるけれど、全国三ノ宮めぐりを完遂することは、より希少価値があるかもしれない。
三ノ宮には、地方により、どんなものがあるかを調べてみよう。
近畿でいうと山城国、大和国、河内国では三ノ宮はないようだ。和泉国では聖神社というのがそれだ。志摩国、伊勢国、紀伊国、それに丹波や丹後でもない。伊賀国の波多伎神社が三ノ宮相当だ。播磨国は住吉神社、近江国は多賀大社だ。
つまり、近畿14国で4国のみが三ノ宮を有する。
中部&北陸地方をみる。
意外なのが尾張国の三ノ宮が熱田神宮であること。三河国は猿投神社、駿河国は御穂神社、伊豆国は浅間神社、美濃国は伊奈波神社、信濃は穂高神社、甲斐国は玉諸神社、佐渡国は引田部神社である。
言い換えると、遠江国、飛騨国、若狭国、越前・越後・越中国、加賀国、能登国には三ノ宮はない!
中部&北陸の16国のうち8国が三ノ宮を擁する。とりわけ北陸の若狭国、越前・越後・越中国、加賀国、能登国には三ノ宮がないのが不思議であります。
関東・東北地方では三ノ宮がない地方をあげるのが早道だ。安房国と下総国、下野国と陸奥国にはない。
10国のういち8国に三ノ宮がある。上総国の三ノ宮は三之宮神社ということは特筆すべきことかどうかわからないが、ベタでいいかもしれない。
中国地方はどうか?
ここも三ノ宮の欠如が目立つ。ある国をあげておこう。
伯耆国の倭文神社(しとりじんじゃ)、石見国の大祭天岩門彦神社、周防国の仁壁神社、長門国の龍王神社だ。
13国中に4国だけである。
四国に行こう。
4国に三ノ宮は一つもない。
最後の九州地方である。
肥後国に藤崎八幡宮があるだけだ。すなわち、11国で1国だけである。
こうしてみると、三ノ宮は北陸や中国の裏日本側と四国・九州には極めて少ないことがわかる。どうも過去のある時代の地方豪族の群雄割拠の状態を占めているような気配がある。
例えば、越前越中越後は「越」という国割の結果できた。そうなると越前と越中の一宮が氣比神宮と気多神社というのは共通支配者の由来を語っていそうだ。能登の一宮も気多大社という。
備前備中備後の一宮も吉備津神社系で共通だ。二宮や三ノ宮などはない。二宮や三ノ宮は支配的豪族の子孫もしくは小さな国を支配していた豪族のものだったのではないか。
全国の三ノ宮の総数は25社でしかない。つまり、一宮の半分以下という容易さである。
一宮めぐりより希少価値があり、短期間で一巡できるようである。
誰かチャレンジしないかな。
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