太平洋戦争の仕掛け人

「あの愚劣な戦争を引き起こしたのは日本の軍部である」とまあ皮相な論者はそう云いますな。
しかしながら、当時マスメディアや一般市民など世論を挙げて日米開戦を喜んだのは今さらあげつらうこともないであろう。国民は全体的に日米開戦はやむ無しとしていた。それどころか「回避せよ」というのは日本政府の上層部くらいだったのだろう。何故かと言うと石油など重要な戦略物資は欧米経由でしか輸入できないものが多かったからだ。それら生命線を遮断されるとなると座して死すしかなかったわけだ。
 そうなる遠因をつくったのは日本の侵略戦争、とくに中国への侵略や満洲傀儡国家の野心ではないかといのは正しい。けれども、その手順は一応、欧米とおなじ手順を踏んで植民地化を進めていただけだというのが、日本の支配者の論理だった。欧米とおなじ道を歩んで何が悪いというのが本音だった。

 こうした主張を裏付けるのは極東軍事裁判のパル判事の意見だけではないことは、一応顧みて置く必要はあろう。

 ヘレン・ミアーズの本がそれだ。彼女はGHQの日本通のブレーンの一人である。歴史上の出来事はどちらか一方が明白なワルモノであることはメッタにないのだ。

アメリカの鏡・日本 完全版 (角川ソフィア文庫)

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