2016-01-01から1年間の記事一覧

方角の姓 西さん 東さん 北さん 南さん

かねてより気になっていたのが、西を含む姓の出身地が西日本に多いこと。 東西南北について、その出身地を人名辞典で拾ってみた。 はじめに西だ。西日本に多いというのは正しそうである。 西周は石見、つまり鳥取県生まれ。西寛ニ郎は薩摩の軍人。西尾末広な…

二見興玉神社&夫婦岩

二見興玉神社と夫婦岩。三重県で二番目に参詣者が多いとか。 猿田彦大神と宇迦御魂大神を祭る。宇迦之御魂大神は中世に招来されたのかもしれない。何故か、カエルの石造物が多く配されている。 手水舎にもカエル様が鎮座しておられる。満願蛙という。叶える…

田螺(たにし)の説話

都会人に成り果てている日本人には、田螺は縁遠くなった生き物である。国内の水田に広く分布する巻き貝である。 なにゆえか、田螺を題材にした民話が多いのも気になる。「田螺長者」「田螺と狐」「田螺と鳥の歌間答」などがある。 民話学者たちは、その理由…

建部大社と瀬田の唐橋

近江の国の一の宮というと建部大社であります。ヤマトタケルノミコトをお祭りした古式ゆかしいお社であります。 行ってみて初めて知ったのですが、瀬田唐橋は京方面から向かう参道の橋なのですね。かたや琵琶湖、かたや新幹線を望む、風光明媚な趣きのある橋…

小国神社を歩く

遠州一の宮というと小国(おくに)神社だ。多くの外来の県民にはその名は知られてはいまい。 静岡県掛川駅からローカル線、天竜浜名湖線に乗り継ぎ、30分程度で着く「遠江一宮駅」。そこから、徒歩三十分ほど(自分は神社の定期便バスに運良く乗れた)の場所…

スタインベック 『赤い子馬』 を読み解く

考えてみると牧場を経営する小さな家族、自然の中で少年が馬を育て、子馬の死によって自らも成長する、というような牧歌的なストーリーは、消え失せたジャンルだ。 動物との関係も犬猫くらいで、馬のような実用を兼ねた家畜を育ているような人々は小説の主題…

南京虐殺事件とA級戦犯

南京虐殺があったことは事実だろうが、30万人という無責任な数字が一人歩きしている。しかも、その責任が松井石根大将に帰せられているというのは悲喜劇も極まれりだ。 松井石根は忘れ去らた人物ではない。「日本のヒトラー」と中国人はいまも歴史の教科書で…

高倉観音を拝見する

房総半島の中ほど、木更津市の奥まった山間部に高倉観音、あるいは高蔵寺がある。 ここは坂東三十番札所でもある。周囲にはこれといった観光地がない。あえて言えば、おとなりに上総アカデミアパークなるハイテク研究向けのリサーチパークがある。しかし、こ…

おー、エリスン!エリスン! ハーラン・エリスン!

60年代だったら、「おー、エリスン!エリスン! ハーラン・エリスン」といななきたいところだ。 日本版オリジナル短編集と銘打って『死の鳥』が刊行され読了したのが、その叫びの主な原因だ。 20世紀のSFの白銀時代は60年代のアメリカとイギリスだったので…

空からの無差別攻撃

空から一般市民への爆弾投下は1849年に起きた。日本は江戸時代、嘉永二年にあたる。徳川家慶の時代、葛飾北斎の没年でもある。黒船来航以前の数年前のころだ。 気球から爆弾を投下したのはオーストリア軍であり、最初の被害地はヴェニスである。 飛行機は190…

種族の集団的な適応と暴力

少子高齢化という自然&文化選択がありうるだろうか? 高齢化の大きな要因の一つは小児死亡率の減少である。高齢者が人口の二割になり、生産者層が半部以下になる。 多くの人たちは家族は少人数の子育てをすればあとは自分の老後の準備をすればいいという、…

巨大な天体観測施設の神話的な解釈

南米チリのアタカマ砂漠の標高約5000メートルの高原にある巨大な天体観測施設『ALMA』、すなわちアルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計:Atacama Large Millimeter/submillimeter Array =『ALMA』)を例に、その神話学的側面を読み解いてみる。…

巨匠小澤によるフランクの交響曲

最後の巨匠というべき小澤征爾の指揮によるフランクの交響曲ニ短調

犬神人(いぬじにん)の語源

中世の賤民として神社に従属して犬神人(いぬじにん)という人たちがいた。境内などの清掃や廃棄物処理に従事したとされている。 自分にはこのコトバの由来が不思議でならなかったが、折口信夫の『万葉集辞典』をみて氷解した。 この書は万葉集のことばを折…

竹生島にわたる

とある晴れた日の午後、琵琶湖湖上の聖地、竹生島を訪れた。もとは万葉仮名的に「都久夫須麻」と表記されるが、「神のいつく」島の意味であったとされる。つまりは、広島の厳島と同じ語源なわけである。 ご祭神は三柱。 市杵島比売命 ( 弁才天) 宇賀福神 …

紫電改の死闘 源田の剣

1945年1月というと太平洋戦争も末期近く、大日本帝国の凋落の運命はほぼ決まった時期である。真珠湾奇襲の立役者、源田実の肝いりの本土防衛戦隊が四国、松山に配備される。 70機ほどの紫電改(Kawanishi N1K)と帝国のえりすぐりの戦闘機乗りを集合せしめ…

老子は神となり、荘子はそうならずにすんだワケ

老子と荘子は道家の本家本元である。ところが後代の道教で老子は「太上老君」と並みいる神々のうちでも上位の位を与えられているのに対して、荘子は神名一覧のどこにもいない。 これはどうしたことか? やはり、老子はその行方知れず伝説からして神話化され…

空手演武における静

空手演武において西洋型のスポーツや舞踏と異なるのは「静止」の重視だと思う。 水鳥が動と静を巧みに使い分け、水中の魚を捕るのに武道の動作が似るのは偶然ではない。存在を消し対するものを獲物にしてしまう、それが達意の境地の一つだろう。 そう、太公…

ドロボー神社

横浜市の上大岡にある青木神社は、なにゆえかドロボー神社ということになっている。 時代ははっきりしないがその由来を語る伝説がある。 大雨によって山津波が起き、青木明神社が一晩で他所の土地に移動してしてしまったのだ。どうやら手前の大岡川をこえて…

HENTAIのOriginは中世にあり

ジャパン・クールの片隅に名を連ねているかどうか疑問ではあるが、少なくともアメリカや中国からは「HENTAI」は認知されている。国際的な文化様式である。 どうやら、その起源は日本中世の近畿圏(=Kinkyというのが笑えるが)の爛熟文化にあるようだ。 穏当…

Bad Apple!! モノクロームなアニソン

多賀大社

「伊勢に参らばお多賀に参れ、お伊勢お多賀の子でござる」と多賀の御師たちは触れて回ったに違いないだろう。官幣大社であった多賀大社は滋賀県の犬上郡多賀町にある。 なにしろ大社である。滋賀県の西のはずれにありながら、それなりの存在感と威容を誇る。…

多度大社 一目連神社

三重県桑名市の養老線にある多度大社。 ここの別宮の一目連神社は天目一箇神(あめのまひとつのみこと)を祭神としている。面白いことに、この社殿には扉がなく、イチモクレン様は気ままに風とともに遊飛する。 なんとっても一つ目小僧との連関でこの神社に…

都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)は「三国史記」にも出ているのか

歴史時代になっても記紀には得たいの知れない人物が出入りする。 日本書紀の巻六「垂仁天皇」の条に、越(新潟から越前まで)に頭に角が生えた奇体な人物が漂着した。今の敦賀市付近とされる。 崇神天皇の御世に、額に角の生えた人が、ひとつの船に乗って越…

国枝史郎の異世界を行く

伝奇小説作家に分類されるであろう国枝史郎。その小説のなかの空間は幻美的だ。 その代表『神州纐纈城』を手に取るがいい。表題からして異様な香気を放つ。 「しんしゅうこうけつじょう」 この書を紐解けば、瞬時にして戦国の世に没入する。武田信玄公のおわ…

物憂さと儚さの日本的心情ストーリーが語るもの

「ジャパニーズ・スマイル」は日本人の不可解さの象徴だったが、今ではそれも当たり前な国民性となってしまったかのようだ。これについては小泉八雲の濃厚な弁護があるが、これは褒め殺しというものだろう。 夫が死んだことを知らせるとき、若い召使いは、す…

八丈島の民話と本土の共通性

鳥も通わぬ離島とまでいわれる八丈島は東京から290キロほどの距離にある。それほどまで離れていているにもかかわらず、縄文時代の遺跡が残されていて有史以前から本土との交流があったのはビックリである。 その八丈島の民話集(1974年の未来社版)か…

ミカワリもしくはミカエリ婆さんとは何者ぞ!

国民的妖怪作家ともなった水木しげる師の遷化や妖怪ウォッチ人気など妖怪ブームの若い層への浸透&定着とともに大人にとって馴染みのない妖怪も子どもには当たり前になった。 まことに不思議な国ニッポンである。 その代表例というわけでもないが「ミカワリ…

アンベードカルと佐々井秀嶺

インド独立の立役者というとネルーとガンジーが著名だが、もう一人大人物がいる。アンベードカルだ。インド固有の大矛盾の一つであるカースト制の解決を一大目標として一身を捧げた人物だ。 彼自身、不可触賤民出身でありながら、不眠不休の努力で米英で法律…

鍛冶神 南宮大社

美濃の一之宮ということなら南宮大社です。祭神の主格は金山彦命であり、火の神であるとされる。大鳥居は東海道新幹線に面しています。豪壮なものです。 太鼓橋のような石橋はフル寂びていて重厚だ。 社殿は立派ですね〜。周辺の氏子や企業からの寄進が相当…