多賀大社

「伊勢に参らばお多賀に参れ、お伊勢お多賀の子でござる」と多賀の御師たちは触れて回ったに違いないだろう。官幣大社であった多賀大社滋賀県犬上郡多賀町にある。
 なにしろ大社である。滋賀県の西のはずれにありながら、それなりの存在感と威容を誇る。

祭神イザナミノミコトは寿命長久・病気平癒・縁結びの神である。

社域には太閤寄進の建造物などが残る。石造の太鼓橋はその一つであろう。


 東大寺大仏の復興を誓った重源がここで寿命を少しでもと願い、その甲斐あって今日の大仏になる。
大社の神紋である虫食いの葉は「寿」とも読める。しかし、虫食いの葉を紋とするというのはなんという発想であろうか!

 『古事記』にも「伊邪那美命が近江の多賀にイますなり」と記されている。
 まことに由緒正しく古式ゆかしい神社であるのだ。茶染めの古びた商店街は「笑門」という札をぶら下げていた。


 近江鉄道という駅テツに人気のわびしげなローカル線で彦根からトントロと鉄路を行くこと1時間ほどである。


新版 古事記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

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