ホフマンのオペラ『ウンディーネ』

 E.T.A.ホフマンはドイツ文学者で『悪魔の霊薬』などの怪奇幻想小説で知られる。日本では全集まで出ていたが、『金の壺』は傑作であろう。『くるみ割り人形』の原作者といったほうが通りがいいだろう。
 もとは音楽家を志向していたので、駆け出しの頃に、これまた有名な小説『ウンディーネ』の歌劇化をした。フーケーは無名なホフマンに台本を書いてやったという。「おばけのホフマン」の隠れた業績なのだ。
 もとは美しき水の精霊ウンディーネと騎士フルトブラントの悲恋の物語。いかにもローレライの伝説の国でこの小説も当時大きな話題になった。「人魚伝説」もそうだが、これも西洋における折口信夫の「水の女」の流れであろう。
 かつて、岩波文庫でも出ていたが、どうなったことか。

 この歌劇の『ウンディーネ』は誰も見向きもしないとドイツ文学者の川村二郎が詠嘆していた。彼もラジオ放送でしか接したことがないそうだ。CDも入手できなかったそうだが、今では序曲なら視聴できる。
 幻想を好んだ芸術家二人のコラボの結果だ。いかなる音楽なのだろうか。

 その序曲のみがYoutubeにあった。

【参考文献】
 光文社文庫版が入手できるようだ。

水の精(ウンディーネ) (光文社古典新訳文庫)

水の精(ウンディーネ) (光文社古典新訳文庫)

人魚伝説 (「知の再発見」双書)

人魚伝説 (「知の再発見」双書)