ほぼ間違いなく、スサノオは出雲神話群の主人公であり、ほぼ確実に朝鮮半島から渡ってきた神である。
『日本書紀』 卷第一 第八段 一書第四に「スサノオは子のイソタケルと新羅に降り曾尸茂梨に居た。スサノオ言うにはこの地に私は居たくない。埴土で船を作りこれに乗って東に渡り出雲国の簸川上にある鳥上之峯に至った。」
この後、天照大神は自分の領地に侵攻してくるスサノオに疑心を抱き、有名な誓約(うけひ)をさせることになる。
その「曾尸茂梨(そしもり)」とはどこだろうか?
三国史記の新羅誌に鍵があると云われている。嚇居世(ホコセ)王が立国した「徐羅伐(ソラボル)」から新羅の国号に変更された。この徐羅伐が曾尸茂梨に比定されるべきだろう。
スサノオと五十猛(イソタケル)は新羅の有力な部族の神であったのであろう。
近年、世界遺産となった海の正倉院、沖ノ島では大和朝廷のシンボルである天照大神と新羅王朝のシンボルであるスサノオの誓約の神話的祭儀が行われていた。
この儀式は日本と新羅の海洋交通を維持するための平和の儀礼であったとされる。
だとすれば、スサノオとは朝鮮民族の民族神であった可能性もある。なんといっても朝鮮半島の古代をカバーする史書、『三国史記』と『三国遺事』は仏教的かつ儒教的なフィルターがかかっていて、神々などという概念が抜け落ちているのだ。
12世紀中葉の高麗王朝の儒者が古記を編纂したのが『三国史記』である。まさに怪力乱神を語らずの内容になつている。他方、それを補うようにして仏僧が『三国遺事』を13世紀末ごろにまとめたとされる。だが、古き神々の記録は抹消されたようなのだ。
それを裏付ける中国側のが三国史魏書の馬韓記である。
鬼神を信じ、国邑で各一人を天神の祭の司祭に立て、これを天君と呼ぶ。また諸国の各々に別邑があり、これを蘇塗という。大木を立てて鈴や鼓を懸け、鬼神につかえる
高麗時代には過去のものになった部族伝承を取りまとめる必要性もなかったのであろう。日本の国津神やまつろわぬ神などに相当する朝鮮の神々の如き史書での取り扱いに難があるものは排除されたと思う。本来は日本と同じように神々の満ちている国であったし、それを畏怖する民族だったのだが歴史の伝統から早々と分断されてしまったのだ。その古代的水脈は日本では残存し正史もそれを「神代」として敬いたてまつる。
朝鮮半島の史的伝統において、12世紀の儒仏による神話の人為的分断は残念至極と勝手に思うのだ。
【参考文献】
儒教一辺倒の朝鮮半島の歴史というのも世界史的にユニークではある。
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三種の異なるソースのイデオロギーというか、思考が江戸文化の多様性を育んだ。だからこそ、蘭学も可能になったのだろう。
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