三国史 高句麗伝にある「隧穴信仰」

 高句麗は古代朝鮮に榮えた強国の一つであるけれど好太王碑(こうたいおうひ)で古代倭国との関係があるくらいの認識しかない。

その国の東に大穴あり、隧穴(すいけつ)と名づく。十月国中大会するときには、隧神を迎えて国の東に還りこれをあがめ祭る。

 三国史にあるこの記事は不思議の感を与える。山岳信仰ではなく、大穴信仰なのだ。穴を崇拝するとは一体どのような神話があってのことなのだろう。
 それにしても、そのような大穴は旧高句麗の土地に残っているのだろうか?
済州島には三神人の創生説話がある。

 済州、太初に人物なきなり。忽ち三神人あり、地より湧出し山の北麓に鎮まる。穴あり毛興という。

と『減州誌』にある。その場所は祠があるという。
 溶岩トンネルがある火山島の発想なのか、それとも高句麗とのつながりがあるのか。



 上記の引用は以下の書によった。

倭国伝 全訳注 中国正史に描かれた日本 (講談社学術文庫)

倭国伝 全訳注 中国正史に描かれた日本 (講談社学術文庫)

古代朝鮮と倭族―神話解読と現地踏査 (中公新書)

古代朝鮮と倭族―神話解読と現地踏査 (中公新書)