11月14日付のNews「奈良で出土の皿、ローマ帝国から? 化学組成ほぼ一致」が古代史ファンの注目を集めている。
奈良県橿原市の新沢千塚古墳から出土のガラス皿がローマ帝国製のガラスの化学組成と一致したのだ。
これは、稀有な遺物であるが、突然に湧きでた不思議なオーパーツではない。
今から20年以上前に由水恒雄が「三国時代の新羅」においてローマ帝国のガラス器を集積し、その文化を継承する拠点であったという異端的な学説を唱えていた。これは風変わりと言われてもしょうがない。
彼の『ガラスと文化』にある伝播図ではシルクロード経由で半島に流れ込み、それが古代の日本にも伝来した。正倉院以前にもこうした経路があったわけである。
弥生時代にローマ帝国のぶん物が伝わるというのは、すごいことだが、その時に朝鮮半島の新羅が大きな役割を果たしているのだ。
実際に新羅の古墳からもガラス器が多数出土しているのである。新羅からの渡来人の影響を受けた大和の豪族が同じ振る舞いに及んでも不思議ではあるまい。また、高句麗や百済からの出土がないというのも付け加えておこう。古代の半島の三国はかなり独立性の高い文化圏だったようなのだ。
132箇所も新羅が出てくるのがこの書物である。
- 作者: 由水常雄
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1997/09
- メディア: 新書
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