殺しあう民族と愛し合う民族

 今世紀にもバルカン半島やアフリカで民族浄化的な殺し合いは散発している。

隣接する民族同士がお互いに敵対することはきわめて多いようだ。

古代から何度も繰り返し起きた国境紛争がその最たるものだろう。

 自分はそれより、お互いに愛し合う民族がいたかどうかの探索に奇妙に魅かれる。

果たしてそんなことは起こりうるだろうか?

「愛し合う民族」

 なんて、魅惑的なことばだ。

 いうなれば、民族間の遠隔恋愛みたいなものだ。

 アメリカでの中国ブームみたいな一過性の趣味や旅行の流行はただの消費主義なので、この事例ではないだろう。

 フランスのジャポニズムも同じだ。

 たぶん、失われた民族に対する憧憬のような文化運動が一番、自分のイメージに近いだろう。実在する民族ではなく、精神的な後継である民族が過去の偉大な民族に抱く尊敬と渇仰の情緒だ。ある時期のドイツ人やイタリアたちがローマ帝国(ラテン民族)に抱いた想いだ。

 ロマン主義はその称号の一つだろう。

わが大和民族もそうなるかもしれないかな。