多摩川の新しくも古い重層的聖地

 『シン・ゴジラ』なる昨年の話題作となった映画をこのほどようやく鑑賞した。
 首都圏在住者の一員としてはその被害状況がこれまでのゴジラものと比較して、リアルに設定されていることに注意しないわけにはいかないだろう。
 一般市民の居住地が高層化したことで破壊の標的にされやすいこともある。どうして多摩川に絶対防衛圏を設定したかについては異論もある。川崎市の武蔵小杉の(人気の)超高層マンション群を見捨てたことになるからである。
 多摩川を挟んだ戦としては鎌倉時代末期に分倍河原の戦い府中市近郊)があった。ここよりも多摩川の上流で鎌倉幕府の北条軍と新田義貞が戦い、新田義貞が勝利する。それ以来の決戦の地となるわけだ。
 こうして、多摩川の防衛陣地の前方司令が位置した「タバ作戦戦闘指揮所」が『シン・ゴジラ』の聖地として重要な案件であることは論を俟たない。
 ....とかってに決めつけて、その要衝を視察しに行った。


 なんといっても自衛隊の指揮所が多摩川浅間神社にあったというのは映画を見たヒトは知っておろう。神社の河岸よりに駐車場があり、ここに設営したことは確かだ。
 しかしながら、この神社は地元の鎮守であり、かなり由緒正しき社であった。しかも溶岩を用いた富士塚が併設といういうか、融合されており本格的な富士講の聖地として機能していたのだ。
 あまりのことに一驚した次第であります。

 ちゃんとした身禄上人の碑もある。


 また、この河岸段丘は古代豪族たちの絶好の見晴らし台であった関係からか、古墳群が連立している状況である。古墳の出土物を展示する区の施設があるのだ。
こうして古代武蔵の古墳群「多摩川台古墳群」とその古墳を足場に増築された多摩川浅間神社、その上の架空の聖地としてのタバ作戦戦闘指揮所が、三重にオーバラップする編成聖地と昇華したわけなので
あります。

 見晴らしは良好。索敵には便利。たしかにゴジラもよく観測できたであろう。シン・ゴジラに破壊されたはずの武蔵小杉の高層マンション群もよく見える。


 しかし、このGoogle mapの指揮所の場所はややズレておる。浅間神社の丘を登ったその脇にある駐車場であるべきだろう。でないと多摩川の南方を十分に俯瞰できない。

 おtころで、なぜ「タバ」指揮所なのか。おそらくは「タマガワ・バリスティック」コマンドなのだ。
 このバリスティックは「弾道」と訳される。