2014-01-01から1年間の記事一覧

善知鳥神社

宇頭という地名が愛知県にある。鳥の善知鳥(うとう)から来たのか、能の『善知鳥』に由来するのか? そうかと思うと青森県に善知鳥神社がある。 善を知る鳥なのだそうだ。 長野県塩尻市には善知鳥峠がある。

日本人の思考力のわびしき風景

21世紀日本人の思考力の状況を個人的感想を直裁かつ簡略に要約してみよう。 自然界の法則は現代の日本の言説にも当て嵌まる。 すなわち、重いモノは沈殿し軽いものだけが浮上する。 さらに加えて、長いものややこしいことは疎まれ、短いものが流行ることを追…

甲府の傀儡祭り

山梨県の甲府市小瀬町に残る奇祭、天津司舞(てんつしまい)は傀儡(かいらい)の人形使いを今に伝える貴重な祭りであると考えます。「傀儡戯」と現地の人は呼ぶ。 諏訪神社の祭礼で「オアカラクリの儀」という人形劇の舞台は「お船」という。 人形の大きさ…

龍蛇の末裔

「龍蛇の裔」なる幻惑的なことばが人文科学者の触角にかかるのは石田英一郎の『桃太郎の母』からであろうか。石田はこの論著で原始地母神の民族的連なりを述べようとしていた。 その対象は豊玉姫命と玉依姫の神話である。神武天皇はその血筋となる。 豊玉姫…

空から昭和天皇陵を見てみよう

天智天皇陵に倣ったという昭和天皇の陵を見てみよう。現代的な古墳だ。波乱の生涯といえば、これほど激動の時代の天皇も少なかろう。 大正天皇陵も近くにある。皇后陵もそれぞれにある。平成天皇のものもこの近辺に造営されることになろう。 明治天皇陵は京…

小沢昭一の芸能論のまとめ

小沢昭一といえば、かつての中年御三家であり、芸能研究家でもあった。昭和以来、途絶えた猿回しを復活させたり、社会の片隅にある芸人を丹念に取材したルポは有名であろう。 その講演は独自なものがあった。芸能の本質についての彼のご高説をメモる。芸能の…

オシラサマ祭文

これが人形遊びのアルカイックな姿か。縄文期にまで遡るやもしれぬ東北の伝統。 なんとも物悲しくも神秘的かつ純朴な民間信仰であり、残存することが奇跡的にも感じらられる。 喜田貞吉、柳田国男、ネフスキーや石田英一郎などがその謎に立ち向かっていく。 …

文明の連鎖倒産仮説

4大文明はいずれも大河の流域に発生した。そのいずれもが滅んだか滅びに瀕している。黄河文明とエジプト文明は生きながらえたのかもしれないが、どうもナイルの賜物のエジプトの方は気息奄々だと思われる。黄河文明の子孫である中華人民共和国は今、経済大国…

振り上げた拳をどうするかな〜

日中関係はなかなか緩和の兆しを見せない。それどころか、互いに牽制をしあっている。 隣国を巻き込んでの「碁」のような状況を呈している。 モンゴル、韓国、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ロシア、フィリピンやインド、ブータンまでが、この囲みあい…

祭りの前立て

神輿の行列の先頭を前立てという。その前立てには多く征服された精霊、もしくはその象徴が位置するという。 八幡神の祭りの前立ては「サイノオ」または「才の男」となる。折口信夫は 八幡系統の社では、人形を用ゐる事が多かつた サイノオも人形に置き換わる…

雛祭の古形を考える

3月3日桃の節句は女の子の無事の成長を祈る年間行事だ。 その行事の特色は「雛人形」である。 では、その由来は何なのだろう? 実は、「ケガレ」を抜き去る儀式であったというのが公式見解である。 人形に罪穢(つみけがれ)を移し、海や川に流すという祓…

遮光器土偶の一つの解釈

青森県亀ヶ岡で発掘された「遮光器土偶」の眼は深い印象を残す。その極端に細い眼裂は何を意味しているか? この土偶に関しては少なくとも女性の偶像であり、氏族の尊崇の対象になっていたことは判明している。また、北方シャーマニズムと何らかの連関はある…

黒(クロ)の民俗的名称の寄せ集め

「黒」は異能の性格を具備する、異質な場所であり、異形のフォルムであり、異常なる特質を有する異界のもののテリトリーとなることが多い。黒川 神奈川県と滋賀県 黒石 青森県 黒江 黒岩村 黒崎 黒沢黒鉄 鉄神社黒塚 鬼婆 黒磯 黒沼 黒島 沖縄と鹿児島県黒姫…

港区高輪のおシャモジ横丁

もはや誰も記憶していないはずだが、港区高輪におシャモジ横丁なる通りがあった。 高輪の台地上にあった「石神社」が、高山稲荷神社に合祀されたもので、『江戸名所図会』によれば、石神横町といわれていた。 里俗で「おしゃもじ横町」といったとされるが、…

信濃の巫女町 東御市

信濃巫女は近世まで漂泊の歴史を続けていた。 長野県の祢津祢津東町に明治維新期には40軒ほどの巫女(ミコ)の親方の家があったという。ここは柳田国男や中山太郎が注目している。 柳田国男は『伝説』でこう書き留めている。 さうして信濃巫の故郷はその小…

日本人/倭人の刺青の系統史の件

江戸時代末期に欧米人の耳目をひいたのは鮮やかな刺青であった。例えば、エミール・ギメの写真にその記録が残る。 不思議なのは江戸時代以前のキリシタン宣教師にたちの記録には刺青のことはほとんど記載がないこと。それを大林太良が論文「入墨の連続と不連…

女性の身投げの真意ならびに聖域

女性の身投げの記録は古事記・日本書紀のころにさかのぼることができる。有名なところでは、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の妻、オトタチバナヒメは今でいう東京湾に身投げして、龍神の怒りを鎮めた。 これほど神話的ではないけれど万葉集にある「葛飾の…

漂泊民と石神

古事記にも登場する建御名方神は諏訪湖の地方神として位置づけられている。そに対して、諏訪大社に祀られているのはミシャグジさまなのだ。 この二柱の神の関係は決着がついてはいない。それゆえに幾多の夢想を誘う古代史のテーマでもある。 近代思想史の当…

不穏なる夏の北半球

記録破りの集中豪雨が日本列島を再三再四襲い、水の犠牲者が毎週のようにニュースとなる。 この豪雨は地球シミュレータにより10年以上まえに予測されていた。温暖化の影響でこうなると。 7月にシベリアのツンドラを吹き破ったメタンガスが巨大な噴出口となっ…

三国史 高句麗伝にある「隧穴信仰」

高句麗は古代朝鮮に榮えた強国の一つであるけれど好太王碑(こうたいおうひ)で古代倭国との関係があるくらいの認識しかない。 その国の東に大穴あり、隧穴(すいけつ)と名づく。十月国中大会するときには、隧神を迎えて国の東に還りこれをあがめ祭る。 三…

グルック『オルフェウス orfeo ed euridice』

グルックの古典オペラ 「オルフェウスとエウリディケ」 ギリシア神話に基づく 2時間のフル演奏 オマケ 『精霊の踊り』

海民と山民、それに平地民

地域社会が貧しく、農耕だけに依存していたとするのは、古代や中世を考えると正しくはない。江戸時代の貧農史観も過ちであるとするのは、網野善彦の証明したことだろう。 遠く大陸系の知識人が「山島」と日本列島を表現したことを思い合わせると、頷ける。山…

バレエ組曲 石の花

プロコフィエフのバレエ『石の花』より ハイライトシーンの「ワルツ」 情景1

インド独立への道のりと日本

インド独立の最大の立役者はガンディーとネルーと相場は決まっている。 しかし、きっかけは大日本帝国の引き起こした太平洋戦争であることは案外、知られていない。 藤原少佐の率いた光機関などが東南アジアにある植民地切り崩しをしていたのだが、そうした…

燃料電池車や電気自動車が炭素フリーか?

「燃料電池車や電気自動車が炭素フリー」 これは世の中に蔓延る誤解の一つである。エコな大衆車というのはエンジニアの夢である。 だが、もうそろそろ、個車(個人所有向け)の大衆車がエコになるという幻想は捨て、クルマ(四輪)の用途を大量輸送向け(バ…

人は天使になろうとして豚に似る

そうパスカルは辛辣に言い放つ。 「天使になろうとして豚に似る」フランスのことわざだそうだ。 人は野獣と天使の間に引かれた一本の綱であるとはニーチェだっか。 「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」とも黒澤明監督はいったが、あいにくと日本に「…

アルバン・ベルクの組曲『ルル』

シェーンベルクの弟子であるアルバン・ベルクの代表的な歌劇 ナチにより頽廃音楽として排斥される。 全3幕完成版 [DVD]" title="アルバン・ベルク : 歌劇 全3幕完成版 [DVD]">アルバン・ベルク : 歌劇 全3幕完成版 [DVD]アーティスト: ストラータス(テレ…

膨張中国と共闘する酔狂さ

中国首脳が北朝鮮を差し置いて韓国をはじめて訪問して、韓国大統領と友好的に会話し、挙句の果ての共同声明を出した。 時代は踊る、だ。 調べてみたら、中国の隣国は押しなべて反中国的な姿勢に変貌している。 北から始めよう。 モンゴル共和国。資源を輸出…

宗教が多すぎるから、意志の自由が保証される

宗教には必ずしも「神」は要請されない。 とするなら、宗教が多すぎるから、意志の自由が保証されると推論してみていいんじゃなーい。 選ぶ自由がある。 カントは実践理性批判で倫理的要求(要請の3番目)から、神の存在が導出される。 そのひそみに倣い、…

金がからめばアマチュア・スポーツは転落するという一例

アメリカにスポーツ・フィッシングという趣味の分野があった。純粋に釣れたクロマグロの大きさを競うだけだ。巨大魚を力と根気で勝ち取る腕自慢を競うだけのアメリカンチックな単純=simpleなスポーツであった。 それを食べるわけでもないのは、なんだか罪な…