そうパスカルは辛辣に言い放つ。
「天使になろうとして豚に似る」フランスのことわざだそうだ。
人は野獣と天使の間に引かれた一本の綱であるとはニーチェだっか。
「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」とも黒澤明監督はいったが、あいにくと日本に「天使」がやってきたのは安土桃山時代の始めだし、間もなく禁教されてしまった。明治時代になるまで、「天使」なるものは民間には知られていない。
ギリシア神話ではパンドーラなる最初の女性がゼウスにより生み出される。
女神の外観と豚の魂を持ったものとして、人類の災いの種になるというヘシオドス記述がある。
してみると、神々しい美貌と醜い魂というのはギリシア人の女性観だったわけだ。だが、これにもわけがある。パンドラ=原始地母神を貶めるオリュンポス宗教観の偏見であるというのが、その論拠だ。
それにしても妙齢の女性は高貴さに輝いているが、その心性は人によっては下卑たものだったしするのも事実だ。高慢さと高貴さはしばしば同居する。
パスカル『パンセ』 2012年6月 (100分 de 名著)
- 作者: 鹿島茂
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