遮光器土偶の一つの解釈

 青森県亀ヶ岡で発掘された「遮光器土偶」の眼は深い印象を残す。その極端に細い眼裂は何を意味しているか?

 この土偶に関しては少なくとも女性の偶像であり、氏族の尊崇の対象になっていたことは判明している。また、北方シャーマニズムと何らかの連関はあると考えられている。
 そこで、自分が想起するのはヤクート族のシャーマンの写真である。


 この顔貌がそのままに写し取られたのだという説を追加しておくとしよう。
 シャーマンの特異な社会的地位は服装、尾羽根をつけたり、奇妙な帽子をかぶることなどで強調される。ヤクートの女シャーマンの衣装もそうだ。そしてそれに対応するのは土偶の身体文様、おそらく入れ墨である。
 シベリアの19世紀の写真がどれほど過去まで遡れる風俗を残すかはなんとも言えない。しかしながら、この風貌は北風により刻まれたものだろう。この眼は極寒の地で生きる人間のたくましさをそのまま表している。

 遮光器土偶は、東北においてある時期、シベリア系民族が同居、混血した可能性を示唆しているのではないだろうか?
 

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 土偶ファンの座右の書であるとされる。

縄文土偶ガイドブック―縄文土偶の世界

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 我が敬愛する宗像教授も程良く土俗的で鋭い仮説を遮光器土偶について開陳している。是非参考にされたい。

宗像教授異考録 第1集 (ビッグコミックススペシャル)

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