もはや誰も記憶していないはずだが、港区高輪におシャモジ横丁なる通りがあった。
高輪の台地上にあった「石神社」が、高山稲荷神社に合祀されたもので、『江戸名所図会』によれば、石神横町といわれていた。
里俗で「おしゃもじ横町」といったとされるが、石神はおしゃもじの原型であるのは通説である。
『石神問答』で山中共古翁が「石紳がオシャモジ杓子に縛ぜしと存候ことは首の遁醐押し易き然に候」している。
シャモジがご飯を盛る器具となったのも「自疋宮槌を陽形に見立て良縁懐苧を祈りしもの」からほぼ理由は明らかだろう。民俗学はこの『石神問答』でその方向性が決められた。
つまりは五穀豊穣と良縁懐妊はおなじカテゴリに属するが故に、ご飯を盛る器具は石神=陽物であってお構いなしとなったのだ。古代的思考とはそうしたものだ。
そう言えば、前方後円墳は、考えようによってはおしゃもじと同じ形状をしている。あまりに野卑な学説であり古代の支配者がそんな低劣な思考をするはずがないということであろうか。ともかく、陽根が前方後円墳のモデルであるとはどのような急進的な考古学者も主張されてはいなかったはずだ。
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