本当の思索者は本当に何考えているかわからない

    閾域化での反応というのは本人のクオリアとエモーションを規定しているようだ。

 たとえば、異性への好き嫌い反応は直感的で直截なもので、それをうまく説明できるすべを本人は持ちえないだろう。

 とくに興味深いのが「一目ぼれ」と「一目嫌い」だろうか。

「一目嫌い」なることばはないが、それに相当する現象はある。瞬時に、そして本能的に「この人いけ好かない、うざい、煩わしい、むさい、暑苦しい」なる判断を下し、避けるかそばに寄らないようにする。

 ファーストインプレッションや瞬間的情報判断なる心理学の研究は、その顛末を部分的に明らかにしているだろう。

 異性への一目ぼれの分析もこの領域に属している。

「いけメン、セクシイ、優しそう、カワイイ、素敵、かっこいい」なる判断をほぼ瞬時に下す。その正確さと能力値は女性が格段にまさるとされる。

 さらに言えば、健康そう、清潔そう、センスよさそう、いい香りなどより立ち入った社会的身体的の診断をもとに好き、嫌いを決めている可能性がある。

 とりわけ、女性の異性への瞬間的情報処理とふるまいは、それ自体探求するに値するトピックスである。

 以下、主観的な観点で語ろう。

 特定の意識高い系のヒトは、異性が他のライバルより自己に惹きつけられることを自覚している。また、釣り針に獲物がかかるのを無意識にサーチしている。

あまり異性を意識しないヒトは立ち居振る舞いは無頓着であり、必要以上に外装的装いも、心理的探り(proving)もない。怜悧さと日常儀礼のルーティンに明け暮れる。

 ことに好個の獲物(異性)が現れたと判断した際には、デコイをはなつ。それが二段階ある。好みにあう獲物であるという潜在意識での判断、ついでその獲物に対する瞬間的誘惑行為である。

 その好みなるものは蓼食う虫も好き好きというけれども、そうでもない。外貌(体形、肌つや、健康性、明眸皓歯、清潔感、ヘアスタイルと質感等)は大きな誘惑因子である。たぶん、男性以上に大きな影響をもつ因子だろう。

 瞬間的誘惑行為の最初はまなざしだろう。瞳きらりアタックが第一号だ。髪の毛フリップやほほ笑みが第二号。第三号は赤面フラッシュだろうか。

 ターゲットあるいは候補となる異性からアプローチがあれば、そこには直情的なウレシイ反応が沸き上がる。気のある異性に近寄ってこられるならば、拒むことは平均的人間には過酷な試練だろう。

 カール・グラマーによれば、女性は積極的に異性を眺めたりしない。逆に男性は女性より頻繁に異性に視線をおくる。特定の異性に対して関心を惹いても、それが受け入れられるかどうかは女性側にキャスティングボードがあるとされる。なにより未知の男性には無粋な言いよりに対しては慇懃無礼を初動措置とする。

 親密さを高める次の行動が許されることをレディネスというが、それは女性が男性に対して、「親しみやすさとスマートさ」を感じたかどうかによるとしている。

 ファーストインプレッションとしての女性のしぐさは、3秒間のまなざしだ。ちらりと見て視線をそらす。それを男性が鋭敏に看取できれば、相手が未知であろうと男性のアプローチの成功率が高まるだろう。

 

 鉄道車両での観察にもとづく、個人的な見解として、女性は異性の外見、すなわち服装(衣服のセンス、清潔さ、TPO)、外見(毛髪の状態、振舞い、容貌、健康さ、年齢)を即座に見定め、そばに寄るか離れるか、なかんずく臨席に座るかどうかを瞬時に判断している。とくに若い女性はその峻別の度合いが著しい。

 公道でのすれ違いでも、同様なことが観察される。3秒間のまなざしはたまさか生じる異性の外見に注目において、瞬間情報判断をおこなっているようだ。ふむ興味深い。

 それをチラリズムと名付ける。チラリズムを発動する女性は、その容姿と身づくろいがレディネスであることが多い。生活苦や他の瑣事に気を取られている女性はチラリズムの素振りすら見せない。レディネスとは自分の性的プライドがあり、その誇示がいきわたっている状態である。

 

 

 

 

 なんと11版。自分のは7版どまりだけど。

【補足】

たしかにMKさんのケースは不確かさであった。チームから離脱を公表するまで、とくに気にしたこともなかった。彼女の反応は「えー、ショック!」であった。

 それから数年、イベントで同席はあり、挨拶めいた取り交わしはあった。アンケートが機縁でアプローチしてみるまでは不確かな思いが停留したままだった。

 ネット会議を申し込むメールへのレスも手早いものだった。その日の午後の開催リンクを返してくれたのだ。仕事の面で尊敬されてるのは間違いないところ。

メルアドと「!」付きメール、ディナーにお付き合い、お菓子をもらい、か。

脈ありは確定したわけである。

 年齢も住む場所も出自もかけはなれている。これほど共通性がないペアも珍しいか。