津々浦々をつくづく味わう新書

 日本の風土と遺跡と聖地を知るために国内を巡るには新書がふさわしい。文庫では情報の一覧性に薄く、単行本は重すぎる。
 旅先に携えて歩くにはポケットに入る新書がピッタリである。そういう高邁なこころざしで役立ちそうな個性的な新書を集めてみた。

 島から始めよう。北海道、本土、四国、九州4つの大きな島以外の島を離島という。
 島国日本の隅々を周遊するには、離島めぐりの斎藤潤の新書を召還しよう。

日本《島旅》紀行 (光文社新書)

日本《島旅》紀行 (光文社新書)

吐カ喇列島 (光文社新書 365)

吐カ喇列島 (光文社新書 365)

東京の島 (光文社新書)

東京の島 (光文社新書)

しかし、半島という「島」を巡る新書がないのは寂しいものだ。かつては半島の岬が海運の目印であった。

 川旅は向一陽のこの新書。


 各地の歴史的な遺跡を巡る新書群。

富士山文化――その信仰遺跡を歩く(祥伝社新書325)

富士山文化――その信仰遺跡を歩く(祥伝社新書325)

日本の聖地ベスト100 (集英社新書)

日本の聖地ベスト100 (集英社新書)

日本の中世を歩く―遺跡を訪ね、史料を読む (岩波新書)

日本の中世を歩く―遺跡を訪ね、史料を読む (岩波新書)

遺跡を楽しもう (岩波ジュニア新書)

遺跡を楽しもう (岩波ジュニア新書)



 第二次大戦の遺構は戦争の記憶を呼び起こす。本土決戦に備えたみすぼらしき廃墟と軍事基地の末路をみて戦争の無残さに思いを致す。

戦争遺跡から学ぶ (岩波ジュニア新書)

戦争遺跡から学ぶ (岩波ジュニア新書)

日本の戦争遺跡―保存版ガイド (平凡社新書)

日本の戦争遺跡―保存版ガイド (平凡社新書)

 しかし、源平古戦場めぐりとか、太平記の里をめぐるとかはないものか。


 国土における生産的なフィールドとして「富岡製糸工場」的な近代化遺産は歴史の歩みのなかで風化させてはならない。

カラー版 近代化遺産を歩く (中公新書)

カラー版 近代化遺産を歩く (中公新書)


 巨樹と巨石によりて聖なるものを感じる。神道は原宗教感覚である畏怖を感じることであった。

巨樹 (講談社現代新書 (801))

巨樹 (講談社現代新書 (801))

写真家の300箇所もの巨石の記録は圧巻である。


 そうそう、富士塚を忘れることなかれだ。

ご近所富士山の「謎」 富士塚御利益散策ガイド (講談社+α新書)

ご近所富士山の「謎」 富士塚御利益散策ガイド (講談社+α新書)

 聖地の典型としての寺社めぐりは中世以降、庶民の娯楽でもあり来世への願望をかなえる旅であった。
 奈良と京都の寺社情報を手際よく集成した新書本は貴重だ。江戸東京編もある。

奈良の寺社150を歩く (PHP新書)

奈良の寺社150を歩く (PHP新書)

京都の寺社505を歩く<上> (PHP新書)

京都の寺社505を歩く<上> (PHP新書)

京都の寺社505を歩く<下> (PHP新書)

京都の寺社505を歩く<下> (PHP新書)


 祭り体験にも一捻り加えた奇祭と珍祭を紹介。信仰の現れの奥深さを知る。



 旅館で和のもてなしの真髄を味わう。

日本百名宿 (光文社新書)

日本百名宿 (光文社新書)


 つけものと地酒とさかなを忘れぬよう。

日本全国旨い地酒を求めて―釣竿片手に (講談社文庫)

日本全国旨い地酒を求めて―釣竿片手に (講談社文庫)

旬の魚を食べ歩く (光文社新書)

旬の魚を食べ歩く (光文社新書)



 最後は温泉めぐり。しかし、それより趣のある珍温泉もある。

温泉教授の日本全国温泉ガイド―カラー版 (光文社新書 (045))

温泉教授の日本全国温泉ガイド―カラー版 (光文社新書 (045))

秘湯、珍湯、怪湯を行く!―温泉チャンピオン6000湯の軌跡 (角川oneテーマ21)

秘湯、珍湯、怪湯を行く!―温泉チャンピオン6000湯の軌跡 (角川oneテーマ21)