初めての奇人伝

 自分にとっての初めての奇人伝は澁澤龍彦による「呪われた詩人たち」の紹介であった。フランスのデカダンを体現した一連の奇矯なる詩人たちの逸話と生涯は、まことに驚きそのものであった。
 シャルル・クロス、ボレル、フォルヌレ、アルフォンス・カルなど個性豊かな文人たちが自由気ままな言動で人々を翻弄するさまが面白く、それがそのまま芸術に直結している。

 奇人伝なるカテゴリを知るに至ったのおはシファキスの著作『アメリ畸人伝』であろう。日本で後から翻訳されたシットウェルの『英国綺人伝』のほうが先にあったらしい。
 泰平の世が続いた江戸時代には日本でも奇人が現れていたらしく、『近世畸人伝』なる書があった。俳人や僧侶などが主要な職種である。

 変わったところでは『ダイバー列伝』なるものがあり、これも奇怪な性格の陳列台になっている。体育会系の奇人伝なのだ。
畸人に関する論究はホソボソと続いている。
 心理学者の研究として1990年代のものがある。かなり変人畸人を肯定的に評価している。

エクセントリックス

エクセントリックス

日本では同好の士の専門誌がある。

定本 畸人研究Z (ちくま文庫)

定本 畸人研究Z (ちくま文庫)

この他にも変人の紹介書はいくつかある。

エキセントリック・ピープル―英国奇人変人列伝

エキセントリック・ピープル―英国奇人変人列伝

世界変人型録

世界変人型録