「なぜ現生人類はアフリカから出現したのか」は数ある無価値な疑問の一つでしかないかもしれませんが、一つの意味ある仮設を引き出すことはできます。
アフリカでは現在まで飢餓や紛争が絶えたことがありません。ご当地人類の受難の地です。黒人たちは苦難のなかで最低限の生活を余儀なくされています。
だからこそ、人類のプロトタイプはそこに保存されていると云えます。欧州やアジアに拡散した無数の人類は適応放散して、原型性を喪失しています。経済的政治的に繁栄しているのは、現代の環境に一時的に適応しているだけのことであると思えるのです。
もっとも原始状態に近いサバイバル・ゾーンに生き残る能力があれば、これからの環境激変の時代にも適応できる可能性が高いという見方があるのです。
ひ弱い先進国にヌクヌクしている人類などは温暖化や寒冷化や資源の枯渇に耐性がないと思われるのであります。
やがて激変後の地球で、さらなる新人類はアフリカの地に宿ることになり、出エジプトを迎えるのです。ピテカントロプスやネアンデルタール人など現生人類に先行するホモニッドたちは、いずれも出アフリカを経験して、世界に散らばっていきました。
どれもアフリカで生まれたのにはきっと理由があるはずです。アフリカに住むボノボという類人猿は後継者となるかもしれないとされています。
他の場所では人類は進化しえないというのが、上記の疑問への一つの回答です。アフリカこそ野生と始原性を保つうえで人類生誕の地に相応しい場所なのでよう。
そういうわけで、アフリカでプロト人類が残存しているから、そこで分岐するしかないのだと考えるのです。
学んでみると自然人類学はおもしろい (BERET SCIENCE)
- 作者: 富田守,針原伸二,真家和生
- 出版社/メーカー: ベレ出版
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
ボノボ―地球上で、一番ヒトに近いサル (Soenshaグリーンブックス)
- 作者: 江口絵理
- 出版社/メーカー: そうえん社
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
- クリック: 22回
- この商品を含むブログ (1件) を見る