1990年代まで伝統的な琵琶法師として人生をまっとうしたのが、山鹿良之であるとされる。盲人として師匠につき、旧事(ふること)の物語の語り部として生計をたてた。
彼の生涯はそれ自体興味が尽きない。
日本社会では盲人はれっきとした職業の場を与えられていた。検校という身分もそうだが、盲人の記憶力はどうやら目明き以上のものがあるというのが古今の通念らしい。
古代ギリシアでも「盲目の吟遊詩人」はいた。ホメロスがそうであったとされる。盲人たちは語り部として漂泊していたのだ。
ところで、山鹿良之の人生は平坦ではなかったらしい。盲人の女性と結婚もしたが子育てがうまく行かなかったのは、やはり盲人の子育てがどれほど大変かを想像させられる。
瞽女さんも恐山のイタコも何やら盲の語り部の伝統を引いていたようだ。こうした女性はやはり孤独のうちに人生を送るのであろう。
琵琶法師を語るなら、こちらが良書だ。DVDつきの岩波新書だ。
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