ノミのサーカス(実在)

 節足動物ながら調教できる稀なる昆虫ということで「ノミ」を取り上げる。

ノミ、とくにヒトノミ(Pulex irritans)は日本ではほとんど見かけることがない。どうしたわけかヨーロッパでは訓練して、「ノミのサーカス」として大道芸の一つになっていた。
 ルーシー・クラウゼンの『昆虫のフォークロア』ではホンのニ行程度の記述があるだけだが、その実在性は紛れもない。
 小西正泰がもう少し詳しい紹介を書いている。
ノミのサーカスの起源は不詳だが、17世紀にルイ十四世が見物したという記録がある。三十匹ほどのノミに槍を持たせて行進させる。二匹に馬具をつけて四輪馬車を引かせる。これはシンデレラか何かのお伽話のシーンのようだ。
 一番人気はサッカーのシュートである。座長が「ゴー」と命じると砂粒大の球をゴールに向けて蹴りつけるのだそうである。
 戦前の日本にも巡業したという。なんとも現代人の見世物観とズレたサーカスではないか。
 


【参考例】
 1)この映像は実写である。しかしながら、芸をするという域には達していない。それもやむを得ないだろう。

 2)この映像はやや期待を満たしてくれる。何らかの芸をしているようにも見える。


【参考資料】

虫の文化誌 (朝日選書)

虫の文化誌 (朝日選書)

【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】昆虫のフォークロア

【ハ゛ーケ゛ンフ゛ック】昆虫のフォークロア