フランスの植民地の残影

 巨大なるアメリカや大英帝国の影でよく理解されていないのが、フランスの植民地であろう。20世紀前半、正確には第二次世界大戦前夜のフランス植民地の有り様は壮観であった。ほぼ旧ソビエト連邦ほどの面積を支配していた、金持ち先進国クラブの一員だったわけであります。

 それを列挙しておきます。

アメリカ大陸
 サン・ビエール・エ=ミクロン、マルチニーク、グアドループ、および両島の領上(マリー・ガラント島 デジラード島 セント諸島 サン=マルタンサン・バルテルミー島)、ギアナ


アフリカ大陸
アルジェリアチュニジア、モロッコ、仏領西アフリカ(AOF)、セネガルモーリタニアスーダン〔現マリ〕、ニジェールギニア、コート・ディヴォワール、ダホメ〔現ベニン〕、仏領赤道アフリカ(AEF):ガボンコンゴ、ウバンギ=チャリ〔現中央アフリカ共和』、チャド、カメルーントーゴ、仏領ソマリア〔現ジブチ


インド洋
マダガスカルコモロ諸島レユニオン島、サン・ポールとニュー・アムステルダム
クロゼ群島、クルグレン群島、アデリ〔南極仏領〕


アジア・太平洋
シェーク・サイド(アラビア半島)、インドシナ(トンキン、アンナン、コーチシナ、ラオスカンボジア)、広州湾、インドの5つの拠点(ボンディシェリカリカル、ヤナオン、マヘ、シャンデルナゴル)とロッジ数ヶ所
ニュー・カレドニアとロワイヨテ諸島、ニュー・ヘブリデス、ワリス群島
タヒチ、イル=スー.ル・ヴァン〔タヒチ西側のツシエテ諸島西側の群島〕、トゥアモトゥ諸島、ガンビエ諸島、マルキーズ諸島、ツプアイ諸島、クリッパートン島


 これだけの全世界ネットワークを保持していたのだ。植民地だった独立国は旧宗主国にそれなりに敬意を払う。
per avionみたいな国際規約の一部でフランス語が幅を利かせるわけである。

 しかし、アフリカ大陸の植民地だった国は多くが政治的混乱に陥っている感がある。散々収奪されて挙げ句の果てが資源をめぐる内紛に明け暮れているところが多いのではないか。