我らが日本の隣人たる韓国・北朝鮮はかなりのプライドの高さを持つ、手強い隣人である。その政治体制がどうこうというのはさて置き、歴史がそのアイデンティティを物語る。
その韓国に日本は振り回されっぱなしである。
日本が外交ベタであるというのはその経験の未熟さに一部は由来する。鎖国から揺り動かされて強引に19世紀の近代に曳き釣りだされたのだ。
であるならば、お隣の韓国・北朝鮮も似たようなものだ。日本が無理やり彼らを開国させて強引に世界史に曳き釣り出したのだ。
彼らにだって、外交経験もなにもありはしない。
違いがあるとすれば、大中華帝国(唐や清など)から冊封国として中国皇帝と君臣関係を連綿と続けてきた、その長大な歴史があることだ。
日本は室町時代に一時、足利義満が臣従の形式をとったが、それ以降は不羈独立をもって栄誉ある孤立の歴史にある。それが、現在はアメリカの「同盟国」の隠れ蓑でアメリカに「臣従」している。
朝鮮半島では、冷戦後の歴史においてそうした関係を徐々に回復していることに諸兄はお気づきであろう。半島経済は大陸経済と結合しやすいのだ。これからもその関係は深まりこそスレ、弱まることはあるまい。彼らは、日本とよりは中国とくみしやすいのだ。
それを裏付けるのは歴史だ。大局史観で朝鮮民族の精神史を読みとくには『朝鮮儒教の二千年』が確かな視座を与える。高麗までの仏教伝統を排除して、朱子学を矯激に信仰し国家の支柱にまでしたその歴史は驚嘆に値する。
過激さのいい例が韓国のハングルへの頑なまでの思い入れである。
これは自国の漢字の歴史と文化の積み上げ1000年分を無視ないしは軽視することだ。ハングルが優れた表記であるとしても、それはやり過ぎだろうと思うのは自分だけであろうか?
李朝時代に仏教を為政者が捨て去ることで観念論的な理気二元論支配を現世に実装した。仏教はそれまで巨大な精神的資産を半島に残したはずなのであるが、それをかなぐり捨てたのである。もったいないことである。
そうした純血化は、官僚の増長をもたらす。国家のパワーバランスが瓦解するのに時間はいらない。官僚の観念的な派閥抗争をもたらす。李氏朝鮮の長い歴史はほとんどが党利党争のコップの中の嵐のストーリーだ。まさにウダウダやっている暇が半島ではあったのだ。
『李朝滅亡』はその終末を描きながら、一方の元凶である日本とも距離をおく。
個人的好みではあるが、朝鮮民族が溌剌としていたのは、三国時代だ。古代朝鮮と古代大和の関係が今以上に密であったらしい。渡来人は列島に幾度と無く押し寄せてきた。
鳥越憲三郎の『古代朝鮮と倭族』および井上秀雄の『古代朝鮮』は必読書であろう。
半島の戦乱によるものと考えればわかりやすい。在日朝鮮民族がいるのは過酷な朝鮮戦争によるものと考えて良い。
金素雲の『三韓昔がたり』は古代朝鮮の英雄豪傑の活躍を描いて面目躍如たるものがある。そこにいくと同じ著者の『朝鮮史譚』は重苦しく、こういう表現が序文にあることを忘れてはならない。
歴史の暗さに面をそむける前に、その病原の遠く深いことを知り、かつはその不幸によって民衆がいかに鍛えられたかを思ひ潜める
両著作は戦前からの名作の誉れ高く、もはや古典というべきだ。金素雲は民族の未来は過去の自覚にあるとした。
なぜに半島の歴史はこれほど冥(くら)いか?
それは李朝時代の閉塞性にあることを、そして、儒教朱子学の純血化にあることを金素雲は明確に自覚していたのだ。
韓国政府の「歴史認識」とはすべての非を他人に転嫁するだけの狭隘な価値観に由来する。他を責めるのも良いが、自国の歴史性を深く思いを致してからのことである。
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以下、参考図書::::
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