人形のコスモロジカルな書誌

 人形にまつわる不可思議なざわめきについて、その異界性(どこやら別の世界に由来するような性質)を摘出するような分析と見識を味わえる書籍群がある。

 ブランドの権化をあげつらう井上章一はただの「エロ文化史」家ではない。

人形の誘惑―招き猫からカーネル・サンダースまで

人形の誘惑―招き猫からカーネル・サンダースまで

 フィギュア蒐集のハシリである澁澤龍彦の視点にはただならぬものがある。

少女コレクション序説 (中公文庫)

少女コレクション序説 (中公文庫)

 愉しき西洋の自動人形史、ただし深みはない

生きている人形

生きている人形

 ネフスキー先生の遺稿集。オシラ様を追い求めて異類婚姻譚にいたる

月と不死 (東洋文庫 (185))

月と不死 (東洋文庫 (185))

 そして、最後に折口信夫全集。人形の起源には芸能の民俗学が最後に控えるべきであろう。