渾沌というとカオスと混同されるようになり、抽象概念の扱いを受けるまでになっている。
だけども、もともとは中国の神様の眷属だったらしい。
白川静によると、古代中国において、悪神を四方に放ち、中央の守りとした。
これを四極観という。
その神の名は、渾沌、窮奇、とうごつ、饕餮としている。
これらの神は漢人が周辺民族の主神を同化してゆく過程で悪神に貶められ、その呪力で邪気を退散させる役目となったのだろうと白川静は推測している。
その本来の姿はどうもこんなものらしい。
なんともカワイイではないか。中国語でHun-dunという。
確かに、荘子の逸話「渾沌七竅(しちきょう)に死す」のごとく目鼻も口もない。荘子のイメージは上記の太った6本足に近かったに違いない。
だが、「カオス」とは程遠い感じがする。カオスの禍々しさは渾沌にはないようだ。
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実のところ、調べてみると『山海経』に渾沌の形姿は描かれている。正式な名は「帝江(ていこう)」だが、その説明をみると「こんとん」の文字が現れる。
神がいる。そのすがたは黄色い袋のごとく、赤いことは丹の火のよう、六つの足、四ツの翼、こんとんとして、面も目もないが、この神は歌舞にくわしい
中国古代人の空想はたくましい。
本書の45頁に図版がある。
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