猫の踊り

 横浜市営地下鉄の駅に「踊場」という場所がある。
 このサイトに簡単な紹介があるように、猫が踊るカーニバルのような行列があったとされる。伝承に由来する地名だ。地下鉄と猫伝説という取り合わせはいいですね。
興味を惹くのは、猫の踊り昔話はココだけの話ではないことだ。
 『武蔵の昔話』(1979)なる書にいう。

 川越から帰ろうと思って、脚折の並木に来たらば、後を後をと猫が集まってくるんだって。
あれと思ったら、うちの猫がそこへ飛び込んできた。
 「お前、おそかったじゃねえか」
 「夕飯がおくれて、熱いおじやをくれられて、口にやけどしちゃいました」
それからうちに爺さまが帰ってきて、猫をみたらいない。
 「猫には何をやった」
 「おかゆ食って出た」
次の朝、猫が帰ってきたんで、
 「お前はゆんべ寄り合いに行ったようだが、うちの勝手を話すのはふとどきな奴じゃ」と小言を
いったら、その晩になって、障子の外で猫が鉢巻して、こっち見て踊って踊って、おじぎを大変したと思ったら、逃げちゃたそうだ

 このように踊りを踊って、はいサヨウナラというのも「猫の踊り」伝承の一つだ。
 それを祭りにしてしまったのが、静岡県函南町の猫おどりである。伊豆半島人もやりおるわい。


【参考文献】
 

日本妖怪散歩 (角川文庫)

日本妖怪散歩 (角川文庫)

 
武蔵の昔話 (日本の昔話)

武蔵の昔話 (日本の昔話)

 
猫の民俗学 (1975年)

猫の民俗学 (1975年)


 横浜市営地下鉄の踊場は下記。地下鉄と猫伝説という取り合わせはマレですね。
その詳細な伝承はここで紹介されている。


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