異質性が増殖中

 アメリカSFの主流は日本SFと異なる次元にある。
作者の名前からして、もはやアシモフハインラインの時代から様変わりしている。
 パチカルビ? 何系のアメリカン?
もちろん、パオロ・バチガルピは『ねじまき少女』の作者だ。

 最近、読んでいる『シリンダー世界111』のアダム=トロイ・カストロは名前からし固定観念を壊す。
 一体、どこの人? 
 キューバユダヤ教徒ホメロス好きなのだろうか?

 チャイナ・ミエヴィルも了解不能な雲の上のアメリカンだ。
その代表作『都市と都市』はヒューゴー賞ローカス賞世界幻想文学大賞などを総なめにした。
 もう一つのエルサレムを舞台とする政治=警察複合帯SFとでもいうべきか。波乱と迫力に富んだストリートでストレートな小説だ。
 かつての純真なアメリカンテイストというものが、これらの作品には、あまり残存してはいない。
 なんというか、混乱のちまたでのたうち回る人間像が、日本の淡薄なSFとは違う。それと、芯のある想像力がやはり雲泥の差。
 錯綜する世界線においても強靭な生き様が世界の標準といった趣きを持つのはさすがだ。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

シリンダー世界111 (ハヤカワ文庫SF)

シリンダー世界111 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)