買ったぜ、ラファティ

 究極のsfの書き手の一人、R.A.ラファティの短篇集を久々に買ったぜ!

 浅倉久志伊藤典夫の黄金コンビの翻訳だ。書名『昔には帰れない』
浅倉久志亡きあと、かつてのようなキラキラした昔には帰れないのでは、ある。

 やはり冒頭の「素顔のユリーマ」は凡庸な精神にはガツンとくる。しんから懐かしい短編である。愚公山を移すのメリケン版といえばいいか。
 左右の違いもわからない凡愚の人物こそが、世界を変革するというのは、老荘思想的であるし、凡愚ピープルは社会的に不可欠なピースでもあるというデュルケームの「社会分業論」を踏まえた問題提起でもある。
 ややもするとあまりラファティをまともにとらえるすぎる難が、自分にはあるようだ。
 そういえば、今年は、途方も無いホラ吹き爺さまラファティが逝ってから十年目だ。

 久々に愉快な短篇集であると極東の片隅で礼賛するジャップがおるのをあの世で知っててくれればいいなと思う。

昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)

昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF)

これと合わせて読まれたい。

社会分業論 (現代社会学大系)

社会分業論 (現代社会学大系)