尼崎連続殺人は常軌を逸した出来事である。異常の出来事だから異常の論理でその背景を考えてみるのもよかろう。
被告は殺人教唆により多数の罪なき人びとを死に追いやった。そのやり口は、柳田国男の「妹の力」を彷彿させるものであるといえば、真面目な民俗学の専門家は大間違いで見当違いも甚だしいと指摘するだろう。
大間違いは承知で、話をすすめる。
初老に近く見栄えもしない普通の女がもつ力、それを妹の力という。
「妹の力」の暗示的な事例がある。山のなかの兄たちが末の妹の教唆によって次々と犯罪を重ねていたという古記録を柳田は引いて、古来の巫女やシャーマンの残滓を重ねあわせている。
憎しみと怨みにつらぬかれた女はすべてが異能をもつ。現代的な意味でこれを鬼道という。
太古、卑弥呼の鬼道は、現代の角田美代子被告の鬼畜道に甦っている。スモールコミュニティ=都邑で、権力を思うがままに振るうその様は、まさに間違った霊力の発現ではないだろうか?
鳥取の連続殺人の上田美由紀被告や木嶋佳苗被告の首都圏連続殺人も、鬼道の末裔を感じさせるものがある。
願わくば、正しい鬼道を現代に再生する、本物のシャーマンが再臨することで、日本に活を与える女性が出現してほしいものだ。
女性の霊力にて古代人への回帰により日本人の霊性が亢進するのだ。
それは、それほど遠くないのではないか?
- 作者: 柳田国男
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1984/07
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