神奈川県は川崎市麻生区に月読神社が鎮座している。川崎というと工業都市のイメージだが、そんなアーバンな風情とは裏腹にうっそうとした小高い丘の上に神社がある。
本日は秋の例大祭。氏子さんたちが神域を掃き清めていた。
月読の尊は壱岐地方の神だったらしい。海の民の信仰対象ということで、わたつみ(海)の支配を
任されるのだが、その他の事績は記紀にはほとんど記述がない。どうやら男神だったことは万葉集の歌からわかる。
夕星も通う天道を何時までか
仰ぎて待たむ 月人壮士
天才的な東洋言語学者ネフスキーが宮古諸島で見出したように、「月の若水(おちみず)」は若返りをもたらすという信仰が古代にはあって、それを月読の尊は持って月にたたずんでいたようなのだ。
月読神社さん、なんといっても、その参道が風情たっぷりである。
秋の爽やかな日差しのもと階段を歩むだけで、洗い清まる心地がいたすのであります。
この長さのアプローチをもつ神社は少ない。
緑の欄干が麻生の森に溶けこんでおります。右手は鬱蒼とした竹やぶである。
草臥れたら、ふもとのファミレス(ガストさん)で一休みするのもいいだろう。月の神は豊穣をもたらすと観念されていたとも言う。実りの秋にふさわしい。
・神道と民俗からの月読神社の追求本
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- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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