地蔵の多様なネーミング

ご近所(100m以内)にも地蔵尊があり、いまだに供え物がある。昨日、入手した『医と石仏』によれば、その名に多くのバリエーションがある。

かんかん地蔵
洗い地蔵
お化粧地蔵
おしろい地蔵
ほうろく地蔵
とうがらし地蔵
とんがらし地蔵
塩盛り地蔵
塩どけ地蔵
塩地蔵
味噌なめ地蔵
ぞば食い地蔵尊
酒のみ地蔵
穴あき地蔵
赤地蔵
延命赤地蔵
目病地蔵
無あご地蔵
ぬりこべ地蔵
足いた地蔵
腰痛地蔵
おちんこ地蔵
梯子地蔵
子安地蔵尊
間引き地蔵
彩色地蔵
半助地蔵
首切り地蔵

梯子地蔵ははしごが奉納されているし、おしろい地蔵や赤地蔵は粉末が塗りたくられている。
 いやはやなんとも近世庶民の願望の多様なことよ。
いまなお信仰の対象でもこれらの野ざらしの石仏というのはなにに引き比べるといいのだろう?
 ヨーロッパ、キリスト教の聖人崇拝だろうか、それとも東南アジアのアニミズムだろうか。
祠が立てられ寺社に合祀されるという点では前者に近い。聖人一人ひとりは異なる願望成就のために尊崇される。
 しかし、その形態の多様性ではアジア的だ。塩をこすりつけたり、縛ったり、石でかんかん叩いたり、なでたりさすったりする。肌身の身体感覚は魔術的、共感呪術的なものがある。

医と石仏・庶民の治病信仰

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疱瘡神?江戸時代の病いをめぐる民間信仰の研究

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