歴史好きな人はおおむね、本好きでもあろう。過去の文明、政治、経済、文化と学問、芸術と工芸、遺跡、文学、建築、戦争、宗教や偉人、交通などにまつわる書籍一冊一冊が独自な情報を保有している。よって所有する書物の数は右肩上がりとなる。本の置き場に困るのは万国読書人共通の悩みだろう。
置き場所の件は置いておいて、やはり、どこに行っても必要な本を読みたいというのは大きな願望ではないだろうか。
よって、「自炊」は必然的な手段になる。これは同時に知的生産の手段にもなる。HDディスク1T(テラ)もあれば、大概の蔵書はカバンに入れて持ち運べる。
というわけで、15200冊の電子蔵書の歴史に関する内訳ばなしをしてみよう。一万五千冊台の紙の蔵書が物理的に存在すれば、それはそれで壮観であろう。だが片手の手のひらに載る万巻の書というのも、ちょっと凄いかもしれない。なんだか中性子星の物質みたいに凝縮感がある。
そんな自己満足に浸りながら何を所蔵しているかと問われると、実のところハードディスクを開かないと思い出せなかったりする。
辞書類は何があるか、古代史本はどうなのか。なかんずく邪馬台国や古墳についての書籍はどんな状態か。どうしても捨てがたい歴史シリーズ(何種類もの「日本の歴史」シリーズ)をどう断捨離したか。
歴史小説、とくに司馬遼太郎本ものももはや紙ではない。80冊の司馬遼太郎本のうち『街道を行く』は半数以上を占めている。このシリーズは気楽に読める。
太平洋戦争を含む戦記ものはどのくらいあるか。光人社NF文庫が多く、44冊になる。
隣国の朝鮮半島と中国大陸の歴史書や地誌はどう集めたか。中華本は200冊で朝鮮関連本は100冊以上だ。この程度では評論家にもなれないが。
各国の歴史はどこまで拾い集めたか。バルト三国やエチオピア、ノルウェーやバヌアツ共和国については非常にまばらなものがある。
人類の進化や生物の進化、地球の進化、太陽系の進化はどんなふうだったかについても、何かしら語れるわけだ。
もちろん、旅の伴侶である地誌や紀行文はどう役に立つかについては後段にて語りたい。
そういう個々のテーマは重要であるが、ここでのメッセージで最初に告げておきたいのは、本の充填の幅が拡がることだ。
それは古本のことだ。
よく知られているように、新刊本よりも種類やテーマが圧倒的なのが古本だ。
あいにく、古書は書き込みや紙が経年劣化していることが多い。電子蔵書にするならば、そうした躊躇は不要のものとなる。4−50年前の本ならスキャナーで読み込み、汚れやシミ、埃とおさらばできる。線引本すら恐れるに及ばない。デジタル化すると他者の痕跡は気にならなくなる。
おまけに安いので興味深い本であれば、迷うことなく買い込んでしまう。読むか読まぬかは二の次である。
そうして集めた代表格は「歴史読本」ものだ。かれこれ50冊はある。この嵩張る雑誌は資料性が高い。紙の質がわら半紙並みなので10年経たずに変色し吸湿してくる。そういう紙質の本は自炊しなければならない第一候補だ。
読むための道具はやはりタブレットであろう。自分の場合、MicroSDに3000冊ほど仕込んで持ち歩いている。タブレットは一昔前ならiPadが主流だったが、コストパフォーマンスの良い優れものが何種類もでている。
そうそう、老眼であっても虫めがねなしに本が読めるのは便利なことは、団塊の世代に向けて教えておこう。
そうこうすると『書を捨て街に出よう』とい気分になる。ウォークマンやiPodが音楽をポータブルにしたように、タブレットは行動的な書斎人というカテゴリーを生み出すのだ。
地図アプリと交通系アプリがあれば、移動しながらの調べものや探し物、情報確認はほぼ完ぺきであろう。何も書斎に戻ってから確かめる必要はないのだ。
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