折口信夫がその論文でふと漏らしたかのような『クロ』に関わる謎。
具体例はそこで触れられてはいない。だが、黒川能、黒沢田楽やアカマタ・クロマタ、黒米など一連の黒に関わる事象グループを念頭においていたのではないかと思う。
もちろん、物忌みの色としての「黒」や闇ということでの暗闇、黒い呪術などへのつながりも視野にあったかもしれない。
東北のの詣りのホトケという習俗があり、これは一族が集まって先祖祭をするもので、本尊を黒ボトケまたは黒本尊というと宮田登が記している。
同じく「黒百合姫祭文」は東北の芸能であるが、安倍貞任の娘の不思議な物語りである。
沖縄諸島の一つでは「クロ宗」という排他的な習俗が残されている。部外者には決して関与させない祭儀があるのだ。折口信夫はその話しを聞きしてっていただろう。
山口昌男によればヴィクター・ターナーが「黒の人類学」というシロとクロとアカの対比の観点からの色彩の文化を論じているという。でも、形式的な比較や構造の類似性だけでは、クロにまつわる不可解さは論じ尽くすことができないだろう。
宝島の別巻で出たルポを参照した。このクロの島についてはK島とあるだけで実名は秘されている。
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