外国人の日本人観について

 東日本大震災のおりに、海外で話題になった「秩序を守る」国民性。
オリンピックの東京誘致の滝川Cのプレゼンで引き合いに出された「おもてなし」や「安全性」。
 どうやら、この手の海外からの日本観はかなりステレオタイプになっているようだ。
一頃の出っ歯でメガネでチビの日本人を塗り替えたといえようか。

 Youtubeで人気の下記の外国人の日本生活コンテンツもそれをなそっている。

 この内容で気づくのは幕末から明治初期の日本の印象をまとめたベストセラーの『逝きし世の面影』がそのままに残響していることだ。とくに「第四章 親和と礼節」との差がほとんど無い。
 それは言い過ぎかも知れない。

 もちろん、この本が売れたことは海外からの日本の印象がリアルタイムで流入する(例えば NAVERまとめ「海外の反応」などが山ほどある)のがコンカレントに生じている。

 エコノミック・アニマルの動物精気が洗い落とされて、江戸時代の頃の和やかな民族性を取り戻したかのような錯覚をおぼえる。

 しかし、どうも、それは怪しいのだ。
実のところ、Webは自分の好きな、望んでいるコンテンツを、それを潜在的に欲している人に届けているからだ。リアル世界を知るかわりに、自分がそうだと信じる情報が選択的に届けられている..どうもそんな感じがする。

 擬似イベントがますます巧妙に仕掛けられている。事実を部分的に集めて編集する、それも自動的に選択的に届ける自己欺瞞メディアとして、ネットはリアル世界を分断しているようだ。


 情報が多いことが逆手に取られている。おべっか使いが甘い情報だけを仕入れてくれる。誰にもそうしたおべっか使いが侍っているのが、ネット・メディアだと言えないだろうか?
そんな馬鹿げている情報だけに踊らされる、愚昧なネット・ピープルが大量に生まれているのではなかろうか?


 過去はどれもノスタルジックだし、佳きものに違いない。

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)