ユーラシア大陸には「妖婆」の系統というのがあるらしい。
前にもブログに記したが、ロシア民話では「ヤガー婆さん=ババ・ヤガー」という人喰い老婆の妖怪が登場する。
人骨で作った柵のある小屋に住み、 石臼に乗り、杵で漕いで人を追いかける
さながら黒塚の鬼婆である。
ヤクート族の民話にはエヴェンの老婆というのがいるところからするとシベリアのモンゴル系種族の共通な妖婆らしい。
それが日本では「山姥(やまんば)」に、比定されることが多いのだが、ここでは新潟の弥彦山の「弥三郎婆」をとくに参照することにしたい。
これらの伝承の起源が共通であるといいたいだけである。しかし、その土地特有の民間信仰がまとわりつきながら妖婆は民衆心性に溶融していくのだろう。金太郎伝説の足柄山の山姥もその一例だろう。
ご存知のことだろうが新潟の彌彦神社は式内社で、越後一宮でもある。
ここに人喰いの婆様=弥三郎婆にまつわる伝説の杉もあるという。越の国は古来、渤海との交流もあり、満州やシベリアからの語りが伝わったとしても不思議ではない。
実のところ、お隣の立山信仰でも姥尊が尊崇されているのはここで強調しておくとしよう。
最古の木像があるのも見逃せない。立膝した姿勢が朝鮮半島の風習や日本中世の姿勢に通うものがあるとされる。
同じ老婆の伝説が、越後では妖婆、越前では姥神となる。
道教の影響だと藤田富士夫は主張している。
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