古い神社は日本の本源である。神道と無縁であってもそれは変わらない。
それは自然との共生のあり方を提示している。
鎮守の森は大都会にあっても連綿と息づいておるし、僻村にあっても清楚さを保っている。里山と類似な人と自然の共存のモデルだが、それは神道と無縁にあらず。
自然から萌えいずる心の形象が古き神社に凝縮されるかのようだ。
我らが紙と木で洗練された文化を築いた民族であることを忘れまい。信仰の対象を木でつくるのは東南アジアの未開民族と共通なのだ。未開性の残存はこの民族の本性であることを確認しておこう。
そして、日本人のお家芸である精密な機械と神像はどこかで通底しているのが、愉快ではないか。匠の技は技芸神とともにあった。
古代と古い地名、そして地形は古社を介してメッセージを伝えている。古墳や古塚は神社に隣接している。古語は神々の名や祝詞に織り込められて現代人にもかそけき情感をもたらす。
古代人の息吹が、神話や伝承を通じてよみがえる。古社にむかえば大和ピープルの魂が揺動する。
ところで、終戦を迎えたある日、柳田国男と折口信夫がある重い会話をした。
特攻した若者たちの御霊の行方、それを担ってきた島国の遺伝子をめぐる会話だったと仄聞する。
その想いを起点に彼らは足並みをそろえ、先祖と魂の行方の探求に向かったのは周知のことだ。この二人の思索は日本人の本源を探る方向に向かう。
これを思い起こしながら古社を巡ろう。
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