美人ミイラコンテストの提案

　ミス・ユニバースとかミス日本とか美人コンテンストは数多かれど、ここはやはり「新しい中世」の幕開けに向けて、美人ミイラのコンテストを行うべきであろう。
　幸い我が国には九相図や「玉造小町子壮衰書」のような死生超越の伝統が残存している。
　世界中の美人ミイラを集めて、生前の姿を再現しつつ、現在の枯れ果てた形姿の評価を通して、その美しさを判別するというイベントこそは、新世紀にふさわしいと言えばふさわしいと考える。
　まあ、あまりに現実離れしたアイデアであり、それを支持するような酔狂な人物もほとんどイないというのは、おぼろげながら予想はしているけれど。
　一頃、『ツインピークス』で「世界でもっとも美しい死体」というのが流行言葉になったひそみに倣えば、あるいはこの奇案も具体化に向けたムーブメントをつかめるやも知れない。
　言い忘れたが、エンバーミングした死体は邪道だから選外とするよ。そんなのはネクロフィリアの殿方にお任せするのであります。

玉造小町子壮衰書―小野小町物語 (岩波文庫)

ツイン・ピークス ゴールド・ボックス（10枚組）（初回限定生産） [DVD]

ミイラの謎 (「知の再発見」双書)