『月に吠える』

 萩原朔太郎の詩は、けっこう冥いので一般受けすることは尠いだろうけれど、地元の前橋ではそうでもない。
 大地のなかの毛だらけな有機物をゲンナリしながら語る、生活に幻滅した芸術家なんて、人気でなかろう。
『月に吠える』のなかで恐水病の幻視が出てくるのは、「犬」に自分を喩える詩の多さからして当然だ。
 そこで思い出したのは、『犬に吠える』という知人の言い間違いだった。
あながち外れではない言い間違いだったね。